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『黄線地帯』 [邦画(ア行)]

「黄線地帯(イエローライン)」(1960)★★★☆65点
監督・脚本: 石井輝男
製作: 大蔵貢
企画: 佐川滉
撮影: 鈴木博
美術: 宮沢計次
音楽: 渡辺宙明
照明:関川次郎
録音:村山絢二
出演:
 吉田輝雄(真山俊夫、毎朝新聞記者)
 三原葉子(小月エミ、ダンサー)
 天知茂(衆木一広、殺し屋)
 三条魔子(桂弓子、海運会社 "神港海運" のOL)
 大友純(阿川)
 沼田曜一(新聞社デスク)
 吉田昌代(酒場のマダム)
 鳴門洋二(パイラーの政)
 若杉嘉津子(売春宿のマダム)
 中村虎彦(松平義秀、慈善家)
 小野彰子(洋モク売りの女)
 扇町京子(ホテルの女)
 瀬戸麗子(カスバ街の娼婦)
 天野照子(弓子の母)
 原利一(パイラーの雄次)
 浪野光夫(神戸税関長)
 池月正(東京駅駅員)
 築地博(ビルの管理人)
 原聖二(神港海運宿直員)
 鈴木信治(黒ソフトの男)
 小野貞夫(黒ソフトの男)
 大谷友彦(チャカ舟の男)
 村山京司(チャカ舟の男)
 沖啓二(鉄)
 小林猛(外人)
 スーザン・ケネディ(ムーア)
 川部修詩(詩人)
製作配給・ジャンル: 新東宝/クライム・サスペンス/79分

黄線地帯 [DVD]





依頼人に裏切られた殺し屋と
彼に人質にされたダンサーの逃亡劇を軸に、
白人に日本人女性を提供する秘密売春組織の闇を暴く。
新東宝が製作し
売春地下組織の暗闇を描いた "地帯(ライン)" シリーズの第3弾。
タイトルにある「黄線」とは、
売春防止法施行以前に
電話や紹介所を通じて派遣されていた私娼の一つ。
本作では
黄色人種(日本人女性)を提供することにも掛けているようだ。

まだ若い天知茂には、トレードマークともいえる眉間のしわがない。
殺し屋とはいえ、シャープでセンスが良く知的なところは
世間でもお馴染みだった彼の資質を十分に見せている。

終盤、三原がダンスを披露しているが、
白い肢体や美しいプロポーションと相まって、なかなかセクシー。
美形というより、好感度の高いといった方が適当なその丸顔は
芯はしっかりしているが、決して嫌みはないエミにふさわしい。

セットだという、神戸の "カスバ" 街は
どことなく異国情緒を感じさせ
如何にも国際港市・神戸といった雰囲気を醸し出している。

ムーアという名の売春婦は
おそらくムーア人(黒人)をイメージしているのだろうが、
白人女性に黒塗りというか、茶塗りさせているのが丸分かり。
洋モク売りの女の、
いかにもペンで引きました、といった顔の老け皺と同様
とっても白けてしまう。
黒人や老婆の女優が揃わなかったということだろうが、
演技もさながら、
こういった嘘の積み重ねが
当時の外国映画との決定的なリアリティの差につながっている。

作品中、"ハクイスケ" という表現が出てくる。
懐かしい。
というか、私も使ったことはないが
いわゆる不良と呼ばれた連中がかろうじて使っていた言葉。
"ハクイ" は "美人の"、"スケ" は "女性" を意味する。
"まぶい" 同様、今は死語になってしまった。

ところで、国際売春組織の実体はどういうものだったのか。
慈善事業家を装う松平が
「カスパ」と呼ばれる歓楽街の裏のボスであることは分かるのだが、
日本側の顔役が松平だとしても、売春組織のドンは一体?
"売春組織=麻薬組織、その両方のトップにいたのが松平"
と考えるのが自然なのだろうが、
そこでひっかかるのが、
助け文を認めた百円札を手にした海運会社のOL。
彼女は以前から黄線地帯から目をつけれていて
外国人に誘拐されるが、
あの外国人は、松平たちとどう関係していたのだろうか?
あるいは、私が
それをきちんと説明しているシーンを見逃したのかもしれないが
外国人たちを始末しなくては、売春組織の壊滅とはならない。
衆木の復讐は親玉に復讐することだから、それでいいのか…でも…

恋人を助けるヒーローが存在しているのだから
幕開きの時点で、天知演じる殺し屋が死ぬことは予想できる。
心優しき殺し屋が警官たちに追い詰められ殺されるところで幕。
展開が面白いだけに、決着のつけ方にひねりが欲しかった。
 
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『悪人』 [邦画(ア行)]

「悪人」(2010)★★★☆70点
英語題: Villain
監督・脚本: 李相日
製作: 島谷能成、服部洋、町田智子、北川直樹、宮路敬久、堀義貴、畠中達郎、喜多埜裕明、大宮敏靖、宇留間和基
プロデューサー: 仁平知世、川村元気
エグゼクティブプロデューサー: 市川南、塚田泰浩
ラインプロデューサー: 鈴木嘉弘
原作・脚本: 吉田修一
撮影: 笠松則通
美術: 杉本亮
美術監督: 種田陽平
編集: 今井剛
音楽: 久石譲
音楽プロデューサー: 岩瀬政雄、杉田寿宏
主題歌: 福原美穂『YourStory』
衣裳デザイン: 小川久美子
照明: 岩下和裕
装飾: 田口貴久
録音: 白取貢
出演:
 妻夫木聡(清水祐一)
 深津絵里(馬込光代)
 樹木希林(清水房江)
 柄本明(石橋佳男)
 岡田将生(増尾圭吾)
 満島ひかり(石橋佳乃)
 塩見三省(佐野刑事)
 宮崎美子(石橋里子)
 光石研(矢島憲夫)
 余貴美子(清水依子)
 井川比佐志(清水勝治)
 松尾スズキ(堤下)
 池内万作(久保刑事)
 山田キヌヲ(馬込珠代)
 韓英恵(谷元沙里)
 中村絢香(安達眞子)
 永山絢斗(鶴田公紀)
製作・配給・ジャンル: 「悪人」製作委員会(=東宝、電通、朝日新聞社、ソニー・ミュージックエンタテインメント、日本出版販売、ホリプロ、アミューズ、Yahoo!JAPAN、TSUTAYAグループ、朝日新聞出版)/東宝/ミステリー・ドラマ/139分

悪人 スタンダード・エディション [DVD]








ふとしたことから殺人者となった青年と、愛に飢えた女が
互いの孤独の中で出会い、ついには逃避行に至る物語。
事件の被害者と加害者、
双方の人間模様を織り交ぜながら進行する。

葬式で、柄本扮する佳男が
佐野刑事に突っかかったなりで、突然懇願に転じる場面。
不自然極まりなく、役者の演技プランが見えてしまう。
柄本明という俳優、常にそれが見え隠れするのが玉に瑕だ。
引き出し(アイデア)を沢山持っていることは役者の強みだが
負け戦になるようなアイデアは、アイデアとは言えない。
すでに、特徴的な顔立ちと独特の台詞のリズムだけで
唯一無二の貴重な存在なのだから、
小手先のつまらぬ小細工で自らの演技をぶち壊さないでほしい。

妻夫木には、"頑張ったで賞" を授けよう。
逃避行の最中、海辺の和食屋で昼飯を食べるシーン、
泣きながらの吐露はいただけない。

本作のキャスティングは結構いい。
悪徳商法で漢方薬を売りつける松尾スズキ、
薄っぺらな大学生・岡田将生。
この2人は特によかった。
逆に、主演の二人は
妻夫木や深津でなくて全然構わない。

演技評価の固い深津に関して不満を少々。
濡れ場で、完全にバスト[乳首]をガードしているのが明白で、
演技でなく、隠すための演出やカメラワークの方に
(特に、男性の)観客の意識が逸れることは想像に難くない。
裸を見せろ、とは言わないが
見せたくないことがバレる程度の露出しかできないのなら
端から、この役を受けるべきではない。
自首しようとする祐一の姿を追いながら、
離れてしまうことに耐え切れず
たまらずにクラクションを鳴らして引き止める光代。
その直後の、情動的とも言えるセックスシーンで
そんなガードぶりが見えるようでは、
せっかく差し込んだ激しいセックスシーンの意味が水泡に帰す。

この映画で一番印象的だったのは
佳乃の父・佳男が、増尾にスパナを振り上げる場面だ。
"そうやってずっと生きていけ" と怒号を放つ激情はあれど、
手にしたスパナを "衝動に任せて打ち下ろしたりはしない"
という佳男の選択にホッとし、そして共感した。

物語の中、
樹木希林が演じる祐一の祖母・房江と
佳乃の両親が一番可哀想だ。

"悪人" とは
決して妻夫木演じる祐一のことだけを言っているのではない。
警察が押し寄せるのを感じながら、光代の首に手をかける祐一。
自分が連れ回したことを正当化し、
光代に罪を負わせないがための優しさ。
だから、祐一は悪人ではないとも言える。

増尾や佳乃はもちろんのこと、
光代の妹も、マスコミも
みな身勝手だ。
"悪人" はその身勝手さを投影した言葉だろう。
だが、身勝手なのが人間だと思う。
誰でも、徒に人を傷つけてしまうことはままある。
だから、それを一概に悪いと断罪することなど私にはできない。
人の命を奪うことも、罪ではあるだろうが
果たして、それが常に悪なのかどうか。

光代の首を絞める祐一が引き剥がされ連行されるのは当然だが
と同時に、警察は
光代の安全を確認し病院に搬送すべく、
光代の元に駆け寄るのが筋ではないのか。
塩見演じる刑事の視線は、連れて行かれる祐一から光代に移るが
彼女に手を差し伸べるわけではない。
放心の光代を真上から印象的に撮りたかったのだろうが、
ならば、たとえありがちなショットになっても
担架なりに載せられて運ばれる光代を真上から狙えばいい。
クライマックスで、
こういった演出先行の非リアリズムには幻滅する。

ラストショットの妻夫木の顔だが
朝日を浴びて明るく輝いている中で
眉の黒さ、唇の赤さが妙に目立っていて、
彼が腹話術の人形に見えて仕方なかった…

この映画は佳作と言えるが、
この程度の映画が
日本アカデミー賞の主要部門をかっさらってしまうなんて、
やはり日本アカデミー賞がろくでもないのか
邦画なんて、所詮そんなレベルなのか。
いずれにしても、お寒い話である。
 
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『伊賀の水月』 [邦画(ア行)]

「伊賀の水月」(1942)★★☆☆50点
監督・脚本: 渡辺邦男
企画: 税田武生
製作: 酒井箴
撮影: 渡辺孝
美術: 上里義三
音楽: 山田栄一
録音: 大谷巌
照明: 伊藤貞一
出演:
 長谷川一夫(荒木又右衛門)
 市川雷蔵(本多大内記)
 林成年(武右衛門、若党)
 島田竜三(池田忠雄)
 近藤美恵子(みね、靱負の娘)
 鶴見丈二(渡辺数馬、靱負の息子)
 田崎潤(河合又五郎)
 黒川弥太郎(柳生又十郎但馬守)
 阿井美千子(おりゅう)
 中村玉緒(みち)
 浦路洋子(ゆき、数馬の許婚)
 河津清三郎(阿部四郎五郎、旗本六方組首領)
 水原浩一(孫右衛門、若党)
 千葉敏郎(星合段四郎)
 小堀明男(近藤登之助)
 杉山昌三九(我孫子、旗本)
 小川虎之助(渡辺靱負、池田藩士)
 原聖四郎(笹川、柳生家老)
 見明凡太朗(河合甚左衛門、又五郎の伯父)
 二代目中村鴈治郎(大久保彦左衛門)
 荒木忍(荒尾豊後)
 羅門光三郎(旗本一党)
 寺島貢(兼松、旗本)
 本郷秀雄(仙太、町人)
 伊達三郎(久世、旗本)
 葛木香一(池田志摩)
 香川良介
製作・配給・ジャンル: 大映/大映/時代劇/102分

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鍵屋の辻の決闘、あるいは伊賀越の仇討ち
として知られる史実に有名な仇討ち事件を描く。

実際に又五郎に殺害されたのは数馬の父でなく、
弟・源太夫であることをはじめ、史実と異なる点も多い。

大映映画では、旗本の横暴がしばしば描かれるが、
大名と旗本の確執、というよりも旗本の大名に対する対抗意識は
史実的にも、かほど強く執念深いものだったのだろうか。

卑劣漢・又五郎には、すでに悪役の定着していた田崎潤。
"盗む" という言葉に激昂して、渡辺靱負を斬るのだが
理由のつまらなさもさることながら
"盗む" にひっかかるタイミングが全くおかしい。
刀の持ち出しを見つかり、
第一声で "盗みだすとは…" と糾弾されているのに
何度か同じ言葉を浴びせられた末に、
初めて聞いたかのように、急に凄みだす。
仇討ちの原因となるシーンなのだから、
脚本をもっと推敲すべきだったろう。

郡山の地で友好を深めた荒木と甚左衛門。
甚左衛門が又五郎の親類であるがゆえに、
敵味方に分かれ、友情も不本意に引き裂かれる。
周りに不幸しか招かない又五郎は、つくづく身勝手な男である。

大内記・本多は、
荒木を "召抱える、暇を出す" にしか関わってこないので
雷蔵の出番はかなり少ない。
どの作品を見ても思うが、彼は実に殿様姿の似合う俳優である。

大久保老人の立ち位置が分からない。
悪行三昧の六方組の後ろ盾かと思いきや、
又五郎の一件で、一転六方組を戒める側に。
大久保がその横暴を許したがゆえに、
かくも理不尽な騒動を招いたというのに。

文武に秀で、忠信篤く、義理人情も備えた荒木。
完全無欠というのは、十分すぎるヒーローの要件だが
長谷川一夫が演じる役どころは
常に出来すぎで、観すぎると詰まらなくなる。

肝心の仇討ちシーンは、長谷川もさして見せ場なく
36人斬りも雑魚ばかり斬っている感じで盛り上がらない。
先に挙げた甚左衛門との対決は、対決と呼べるような代物ではなく
本当に剣を交えたかどうかも分からぬほど、一瞬のカット。
36人斬りで魅せられないなら、
せめて、この2人の鍔迫り合いを見せてほしかった。

何とも頼りない数馬が、どうにか本懐を遂げるラスト。
傷を負った武右衛門が命を取り留めたのか否かが気になった。

殺陣よりドラマに重きがある "仇討ち" 物。
それにしては、もう一つ同情を引かないのは
仇討ちより、荒木又右衛門の武勇伝に仕立てているからだろう。
 
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『命を賭ける男』 [邦画(ア行)]

「命を賭ける男」(1958)★★☆☆☆40点
監督: 加戸敏
脚本: 八尋不二
企画: 浅井昭三郎
製作: 永田雅一
撮影: 牧田行正
美術: 上里義三
音楽: 鈴木静一
録音: 大谷巖
照明: 加藤庄之丞
出演:
 長谷川一夫(幡随院長兵衛)
 川口浩(白井権八)
 市川雷蔵(水野十郎左衛門)
 山本富士子(おきぬ)
 近藤美恵子(おあい)
 浦路洋子(小紫/一重)
 田崎潤(坂部三十郎)
 舟木洋一(本庄助八)
 月田昌也(半間の半次)
 見明凡太朗(本多出雲守)
 潮万太郎(小仏小平)
 伊沢一郎(夢の市郎兵衛)
 清水元(放れ駒四郎兵衛)
 沢村宗之助(大久保彦六)
 徳川夢声(講釈師竜玉斎)
 浦辺粂子(おとよ)
 香川良介(石谷将監)
製作・配給・ジャンル: 大映/大映/時代劇・任侠/102分

命を賭ける男.jpg

長谷川一夫、山本富士子、市川雷蔵、川口浩
と、豪華俳優が集った大映時代劇。

権八が、好いた女の父を斬り、鳥取の地から逃れる場面に始まる。
なぜ因州・鳥取なのか、と疑問に思ったが
深い意味は全くなさそうだ。

一方、江戸で旗本が横暴を振るう、という設定は定番。
歳を重ね、悪役が板につきはじめた田崎が
無法者集団・白柄組を掌握する坂部を演じている。

白柄組との小競り合いをきっかけに
江戸の平穏を守る町奴・長兵衛の元に世話になる権八。
女絡みで逃げてきた権八は、江戸でも女に御執心。
姑息な手段で、因州からの追っ手を討ち
武士の潔さの欠片もない権八は、
オーラスで、自分を助けに来た長兵衛の身を案ずることもなく
花魁・小紫の元へと戻っていく。
冒頭、その気風の良さから長兵衛が引き取る流れだが
気風がいいというより、
義理よりも女という、自分勝手な若造にすぎない。

終盤、湯殿でのシーン。
一旦和解するも
仲間の裏切りから、長兵衛を討たざるを得なくなる水野。
自分の命と引き換えに
今後江戸の町民に狼藉を働かないという約束を取りつけ
水野が手にする槍を、自ら胸に突き立てた長兵衛。
やはり、男気ある役を演じさせたら、長谷川一夫は天下一品だ。

長兵衛の棺から離れ、おきぬが泣き叫ぶ。
"親分、あなたは死んじゃいない。
江戸の人たちの心の…心の中に、
いつまでも、いつまでも生きているんです"

言葉を切りながら言い直しながらの台詞回しは、
いかにも時代劇って感じを抱かせる。
こういった、日本映画の初期を担った作品における演技が
のちにテレビ物の時代劇の製作者・出演者たちに
大きく影響を与えているんだな、と再認識。

長兵衛の死の直後、
白柄組に、取り潰し・切腹のお沙汰が下る。
ならば、長兵衛が死ぬこともなかったじゃないか
と観る者の胸には口惜しさがあふれるはず。

他のエピソードについても
因州の恋沙汰の結末はうやむや、
江ノ島で父を無礼討ちにされたおあいの仇討ちは尻切れ。
長兵衛の恋心をようやく打ち明けられるも
妻の座はつかの間、夫の亡骸を前にするおきぬは報われない。

『遊侠五人男』と同じ脚本家と監督が手がけた時代劇だが
心から楽しめる娯楽物『遊侠~』とは大違い。
中途半端と辛気臭い話ばかりで、居たたまれない気持ちになる。
 
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『悪夢探偵』 [邦画(ア行)]

「悪夢探偵」(2006)★☆☆☆30点
英語題: NIGHTMARE DETECTIVE
監督・脚本・プロデューサー・撮影・美術・編集: 塚本晋也
脚本: 黒木久勝
プロデューサー: 川原伸一、武部由実子
エグゼクティブプロデューサー: 牛山拓二
撮影: 志田貴之
照明: 吉田恵輔
VE: 矢部光宏
録音: 加藤大和
音楽: 石川忠
音響効果: 北田雅也
エンディングテーマ: フジファブリック『蒼い鳥』
VFX: GONZOREVOLUTION
特殊メイク: 織田尚
出演:
 松田龍平(影沼京一 "悪夢探偵")
 hitomi(霧島慶子、刑事)
 安藤政信(若宮、刑事)
 大杉漣(関谷、刑事)
 原田芳雄(大石恵三)
 塚本晋也(ゼロ)
 猪俣ユキ(パンク少女)
 村木仁(肥枝田)
 ふせえり (肥枝田の妻)
製作・配給・ジャンル: ムービーアイ・エンタテインメント、海獣シアター、I&SBBDO/ムービーアイ・エンタテインメント/サスペンス・ミステリー・ホラー/106分

悪夢探偵 スタンダード・エディション [DVD]








原田芳雄出演作品というしか知らず
作品の前に身を置いたので、いろいろ驚きの連続。
一方、お目当ての原田の出演が
冒頭の5分程度だけというのが非常に残念だった。

塚本晋也といえば、「鉄男」というタイトルは浮かぶ。
タイトルはと言ったのは、作品を観ていないからである。
自ら、監督・製作・脚本・撮影・美術・編集・主演を担当するのが
彼の映画作りのスタイルとのこと。
作品の評価の大半が彼一人に返ってくるわけである。
結論から言えば、
彼のスタイルに触れた以外の収穫はなかった。

犠牲者が血まみれで自殺するシーンは目を背けたくなったが
ホラーというより、ミステリーの色合いが強いせいか
このジャンルが大の苦手の私でさえ、怖さを覚えなかった。

夢が現実に反映されるという設定は興味深いし
霧島・影沼ともに、同じゼロを相手に夢を見ているはずなのに
二人が見ている夢が違うのも面白いだけに、
構成以上に中身に目がいかないのが虚しい。

人の夢に入り込めるという影沼の過去やゼロの過去について
その描き方、それをどう背負っているか、
その過去に苦しむ影沼に霧島刑事の共感・同情していくか
いずれの点も中途半端で不明確であるがために
各人が抱える絶望・狂気・哀感が画面のこちらに伝わってこない。

私は hitomi のファンである。
綺麗な顔立ち(張ったエラも含めて)やスタイルはもちろん、
本業の、曲・歌声といった歌手の側面も好きである。
だが演技的には、邪魔にならない以上には評価できない。
刑事という堅いキャラで口にする台詞は、
下手な雰囲気芝居をする俳優に多い語尾伸ばしになっていて
ファンとしては残念至極である。
冒頭、歩いて登場する姿が
まず腰の落ちた半端なモデル歩きでいただけない。

また安藤についても、塚本同様
演技者として認識したのは今回が初めて。
「鉄道員(ぽっぽや)」「さくらん」は観ているのだが
彼のことは全く覚えていない。
北野監督の「キッズ・リターン」でデビューしたそうだから
この映画に出演するまでに10年のキャリアを積んでいたはずだが
演技は下手だし、
藤木直人ほどのソフトな色気もなく魅力も感じられない。

原田芳雄の名がなければ、まず観なかったろう。
たった5分でも、最もリアルで存在感を放っていた気がする。

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『宇宙人東京に現わる』 [邦画(ア行)]

「宇宙人東京に現わる」(1956)★★★★☆75点
監督: 島耕二
製作: 永田雅一
企画: 中代富士男
原案: 中島源太郎
脚本: 小国英雄
撮影: 渡辺公夫
録音:西井憲一
照明: 久保田行一
美術: 間野重雄
衣裳: 東郷嗣男
音楽: 大森盛太郎
音響効果: 花岡勝次郎
色彩指導: 岡本太郎
特殊技術: 的場徹
編集: 鈴木東陽
出演:
 川崎敬三(磯辺徹、城北天文台研究員)
 山形勲(松田英輔)
 見明凡太朗(小村芳雄、城北天文台研究員)
 南部彰三(磯辺直太郎、徹の父・警察官僚)
 目黒幸子(磯辺徳子、直太郎の妻)
 フランク熊谷(城北天文台通信係)
 河原侃二(高島博士)
 岡村文子(お花)
 永井エミ子(小村多恵子、芳雄の娘)
 小原利之(天野健一)
 平井岐代子(松田清子)
 斎藤紫香(紳士を振った男)
 刈田とよみ(青空ひかり/天野銀子・パイラ人)
 八木沢敏(パイラ人第2号)
 夏木章(パイラ人第3号)
 津田駿二(パイラ人第4号)
 渡辺鉄弥(三吉)
 泉静治(酔客)
 谷謙一(用心棒)
 杉田康(新聞記者)
 花村泰子(芸者)
 原田該(船員)
製作・配給・ジャンル: 大映/大映/特撮・SF/87分

宇宙人東京に現わる [DVD]








日本初の本格的カラー空想特撮映画。
特撮は、円谷プロのウルトラ・シリーズを手掛けた的場徹。

侵略性・攻撃性のない円盤、
そして、宇宙道徳なるものを唱える友好的な宇宙人。
対立・戦争が既定ともなる現代の宇宙物の映画に慣れている私には
予想しなかった宇宙人の性格設定であり、
支脈となるそれぞれのドラマの切り口も意外性・多様性に富んでいて
大いに新鮮味を感じた。

"学者が政治家みたいに平気で放言したらエラいことになるわよ"
とは居酒屋・宇宙軒の女将の発言。
庶民の口から、いきなり辛辣な言葉が飛び出す。

岡本太郎がデザインしたと言われるパイラ星人は
星形、あるいはヒトデ型とも言える。
中央の大きな一つ目を人の顔に変えれば
大阪万博のシンボル・太陽の塔の原型とも言える外観をしている。

人間が薄い布を被っているのが丸分かりのパイラ人の衣裳には
やはり稚拙さを感じざるを得ない。
また、地球人に変身する他、潜入法がないと結論づける際には
"地球に入れば地球に従え" という諺が飛び出す。
"郷に入っては郷に従え" のもじりだが、
宇宙人と諺という取り合わせも笑える。

パイラ星人が日本人に変身するシーンも、ごく単純で粗い手法だが
当時の観客にはかなりの衝撃であったことは想像に難くない。

円盤の中では、テレパシーで会話しているパイラ星人が
"地球人の中に入り込むことに成功した" 旨を
指輪型の通信機で交信する時に使うのが、
テレパシーとかパイラ人の言葉でなく、日本語であることは疑問。

指紋のないことを発見し、瞬間移動を目撃。
汗からの微粒子の解析・照合、
超人的なジャンプ力を重力の違いであると分析する。
なかなか細かい部分を詰めた脚本であることが分かり、
それなりの説得力を持つ。

水爆以上の威力を発揮するウリウム元素101。
原水爆の平和的利用と、
ウリウム研究の中止を進言するためにやってきたパイラ星人。
原水爆の保有国は目が覚めにくいから、
真の恐ろしさを知る被爆国日本を選んだと言う。
さらに、たかが日本一国の発言が無力であることも承知だとも。
だが、間もなく地球にアールという星が衝突する事実を告げ
その衝突を避けるために
地球上の全原水爆を放出し、
その星を粉砕あるいは軌道変更する必要性を説く。

一方では
ウリウムの発見者・松田の元には、
武器商人が現れ誘拐・拉致までする。

アール星の大接近を前に
至るところで警報が鳴り、頭巾を被って避難する庶民の姿格好は
空襲警報に逃げ惑う戦時中の日本人さながらである。

原水爆も効かないという新たな問題が発生し
突風・津波・動物の死滅・異常行動、など
アールの接近による天変地異の描写にも枚挙に暇がない。

パイラ人によるウリウム爆弾の投下により
アールが爆発するのをサングラスをして目撃するシーンは、
原爆の成功実験を見届けたロスアラモスの研究員の姿が重なる。

種々の事象が冷戦下の世界情勢を強く揶揄・風刺。
核廃絶を理想とする反核メッセージが強く、説教臭さは否めない。
とはいえ、
想像できるかぎりの科学考証に、
次々に畳み掛ける難題と解決による緊張と緩和。
パイラ星人の行動には最後まで不合理な点があるものの、
半世紀以上前の製作だということを鑑みれば
よく練り込まれた力作と言えよう。

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『愛の流刑地』 [邦画(ア行)]

「愛の流刑地」(2007)★★☆☆☆40点
監督・脚本: 鶴橋康夫
企画: 見城徹
製作総指揮: 金澤清美
製作: 富山省吾
プロデューサー: 市川南、大浦俊将、秦祐子
原作: 渡辺淳一「愛の流刑地」
撮影: 村瀬清、鈴木富夫
美術: 部谷京子
照明: 藤原武夫
音楽: 仲西匡、長谷部徹、福島祐子
編集: 山田宏司
主題歌: 平井堅「哀歌(エレジー)」
出演:
 豊川悦司(村尾菊治)
 寺島しのぶ(入江冬香)
 長谷川京子(織部美雪、検事)
 陣内孝則(北岡文弥、村尾の担当弁護士)
 仲村トオル(入江徹、冬香の夫)
 富司純子(木村文江、冬香の母)
 浅田美代子(魚住祥子、冬香の友人)
 津川雅彦(中瀬宏、出版社役員・村尾の友人)
 余貴美子(菊池麻子、バーのママ)
 佐々木蔵之介(稲葉喜重、地検副部長・織部の上司)
 佐藤浩市(脇田俊正、刑事)
 高島礼子(佐和、村尾の元妻)
 貫地谷しほり(村尾高子、村尾の娘)
 三谷昇(マンションの管理人)
 木下ほうか(裁判所廷吏)
 本田博太郎(久世泰西、裁判長)
 阿藤快(検事)
 中村靖日(検察事務官)
 松重豊(関口重和、刑事)
 六平直政(刑事)
 森本レオ
 品川徹
製作・配給・ジャンル: 「愛の流刑地」製作委員会(=東宝、讀賣テレビ、日本テレビ、電通、幻冬舎、東北新社、日本経済新聞社)/東宝/ドラマ・ロマンス・エロティック/125分

愛の流刑地 [DVD]








渡辺淳一小説の映像化。
情事の果てに愛人を殺した作家を主人公に描いた映画。

まぶしい光をさえぎるためにかざす手。
これは村尾と冬香の出会いのキーとなる仕草である。
冒頭、冬香の遺体を脇に
村尾が窓から差し込む光を手をかざす。
まあ、まぶしさに気づくタイミングと手をかざす仕草の下手なこと。
この時点では、冬香の仕草に重なるとは分からなかったのに
鮮明に覚えていたのは、
それだけ下手さ加減が気になったからである。

冬香が手をかざす時もそうだが
"光をさえぎる" ために、かざすはずなのに
2人ともまったくさえぎっていない。
世の中に、あんな不自然な行動をとる人間は一人としていない。
画として、俳優の顔が影になるのが嫌だったから
だとすれば、それは本末転倒な考え。
自分の顔がきれいに映ることを優先して
作品や自分の演技の評価が下がれば、俳優とて不本意のはず。

台詞のないカットは、人の表情や仕草にかかってくるわけだから
そのディーテイルや真実味がいかに重要かは自明である。

初めて2人きりで逢う雨の神社。
いくら何でも、あんなにピーカンでザザ降りのお天気雨はないだろう。
シーン最後のカットで
林が覆う陰に明るい太陽光線が差し込む
コントラストの利いた画が欲しかったのかもしれないが
それなら雨のシーンにしなくてもいい。
2人の情熱を強調するために、雨が必要だというなら
快晴下の日向が目立つ前に、雨を止ませればいいだけの話。
演出のアイデアが貧困だ。

津川雅彦を出してきたのは
"渡辺淳一" 作品出演において、先輩俳優だからであろうか。
冬香の母親役に、寺島の実母・富司純子を起用したり
視聴率稼ぎの手法に毒されたTVドラマまがいで
話題づくり先行の、安直なキャスティングに
登場しただけですっかり引いてしまった。

長谷川京子が演じる織部美雪は
上司・稲葉との間に、
村尾と冬香に重なるようなプライベートを抱えている。
だが、脚本上も演技上もその実(じつ)は浮かび上がってこない。

ところで、村尾との初めての対面シーンで、
ノースリーブ姿になって色気で迫るような演技は、実に不可解。
ただのサービスショット?

「ハゲタカ」の栗山もそうだったが
低い声を使いこなせない女優は、
弁護士・検事・キャスターなど、
職業的安定感を要求される役には不足である。

目立たんばかりに大芝居で一瞬刑事役で登場する六平。
同じく、刑事役の松重も相変わらず眉間のしわを見せる一発芸。
悪目立ちする彼らを使うなら、
無名の俳優を使ったほうがよほどマシ。

その他にも、佐藤浩市をはじめ
名のある俳優を出番の少ないチョイ役でしか使っていないのが残念。
村尾を取り巻く人たちの思い、
弁護士・検事の思い、冬香の関係者たちの思い。
周辺ドラマすべてが、全くあるいは中途半端にしか描かれない粗を
そうした配役が目立たせる一因ともなっている。

冬香の死にたいほどの恋情は
村尾とのやり取りではなかなか伝わってこなかったが
回想シーンをバックに
獄中で村尾が読む寺島の手紙のナレーションによって
ぐんと胸に迫ってくるものがあった。
これが本作で唯一評価できる点。

村尾が終盤、
決め台詞のように "選ばれた殺人者" という言葉を繰り返す。
だが、言葉ばかりが浮いていて
その裏にある主人公の気持ちがよく見えないまま幕。

TVでは、2夜連続で映画の倍の時間をかけてドラマ化。
村尾役に岸谷五朗、冬香役に高岡早紀を配したこの作品は
2007年の放映当時に観ている。

岸谷に小説家らしさは感じなかったものの
裁判を通じての心理表現は見事だったのを記憶している。
また、色気ある容姿と美しくしなやかな肢体を備えた高岡には
冬香のような役柄は打ってつけだった。

渡辺作品に登場する主人公の女性は
匂いたつような色気があり、それ相応の美形であることが不可欠。

端的に言えば
時間の制約を考慮しても、TVドラマの圧勝。

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『おさな妻』 [邦画(ア行)]

「おさな妻」(1970)★★☆☆☆40点
監督: 臼坂礼次郎
企画: 藤井浩明、川崎治直
原作: 富島健夫
脚本: 白坂依志夫、安本莞二
撮影: 上原明
録音: 飛田喜美雄
照明: 久保江平八
美術: 間野重雄
編集: 糸井敬男
音楽: 八木正生
主題歌: 「はじめての愛」(作詞:中山和郎、作曲:高橋五郎、歌:関根恵子)
出演:
 関根恵子(黛玲子)
 新克利(吉川、建築デザイナー)
 坪内ミキ子(文子、玲子の母)
 佐藤久里子(まゆみ、吉川の娘)
 渡辺美佐子(高山由紀子 "ジャンヌ"、舞台女優)
 真山知子(滝沢喜久子、作詞家)
 福田豊土(石垣、教師)
 近江輝子(静江、玲子の伯母・ブティック経営者)
 炎三四郎(淳一、叔母・静江の息子)
 藤道子(ミドリ、アパートの隣人・ホステス)
 橘公子(咲子)
 三笠すみれ(井村友子、クラスメート)
 八代順子(瀬上和子、クラスメート)
 桜井純子(明美、ブティック店員)
 木島進介(支配人)
 花布辰男(校長)
 三夏伸(ジュン)
 甲斐弘子(ホステス)
 喜多大八(事務所の男)
製作・配給・ジャンル: 大映/ダイニチ映配/青春・ドラマ・ロマンス/86分

おさな妻 [DVD]








母を失い孤児となった女子高生が、娘ある男性と結ばれ
おさな妻としてのストーリー。

いきなり、床体操を披露するシーンからスタート。
体育の授業で床体操とは珍しい気がする。

吉川のデザインした店に流れるゴーゴー音楽、
乗りが良くて結構気に入った。

店を後にする車の窓ガラスに赤いネオンが流れる。
演出的に意図したものかどうかは分からないが、粋な映像に感じる。

"私がみなしごだから、可哀想だと思ってプロポーズしたのね"
という玲子に対して
"馬鹿だなあ" と、人差し指で玲子の額を優しく突く吉川の仕草は
時代を感じさせるもので、微笑ましくもつい吹いてしまう。

2人が初めてキスしようとするシーンの
"目は見るためだけじゃない、つぶるためにもあるんだよ"
という吉川の台詞も同様。
観ている方が気恥ずかしくなる。

今ではすっかり色気たっぷりの美人女優の高橋恵子だが
高校生を地でいくこの頃の関根は、
やはり美人というより可愛い。

初体験の痛みを
"好きで好きでたまらない男性がいると
胸が締め付けられるように痛むだろ。あれと同じさ"
と諭すのはどうだろう?

おさな妻というショッキングな設定も手伝って
結局は、SEXや裸を売りにした作品となっている。

ラストはほろ苦く可愛らしいハッピーエンド。

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『男の世界だ』 [邦画(ア行)]

「男の世界だ」(1960)★★☆☆50点
監督: 土居通芳
製作: 大蔵貢
企画: 小野沢寛
原案: 松尾文人
脚本: 葉山浩三「女獣」
音楽: 三保敬太郎
撮影: 森田守
照明: 石森浩
録音: 中井喜八郎
美術: 加藤雅俊
出演:
 吉田輝雄(吉田猛、N大ボクシング部の主将)
 菅原文太(菅原俊夫、"東京日報" 新聞記者)
 寺島達夫(寺島吾郎、柳瀬港湾の沖仲仕主任)
 高宮敬二(高宮剣次、殺し屋)
 大空真弓(柳瀬玲子、社長令嬢・吉田の恋人)
 中西杏子(倉田路子、吾郎の恋人)
 林寛(柳瀬、柳瀬港湾社長)
 細川俊夫(野崎、柳瀬港湾専務)
 若宮隆二(北島亮作、北島組組長)
 万里昌代(蘭子、北島の愛人・高宮の元恋人)
 渡辺高光(筆川、北沢組組員)
 晴海勇三(乙宮、北沢組幹部)
 宗方祐二(新海、北沢組組員)
 西一樹(鉄、北沢組組員)
 山口多賀志(梶川)
 宮浩一
 森本千太
 村山京司
 筑波二郎
 宗敏彦
 矢島啓二
 三宅実
製作・配給・ジャンル: 新東宝/新東宝/アクション/81分

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兄を殺された男の復讐劇を描いたアクション物。

"ハンサム・タワーズ" と言われた
菅原文太、吉田輝雄、寺島達夫、高宮敬二の長身美男俳優たち。
当時完成したばかりの東京タワーにちなんだネーミングだが
新東宝の倒産により、これが最初で最後の共演となった。

この頃の映画には必ずといっていいほど
露出度の高い女性のダンスカットが入る。

高宮は、流しの割りには歌が下手だ。

段取りが整然としていないのが
却ってアクションをリアルに感じさせる。
(2人で目配せなんかして芝居するところ以外は)
4人の中で、菅原が一番アクションが下手。
この後「仁義なき闘い」でスターダムに上りつめるまでには
かなりの時間を要するわけだ。

悪人に悪人らしさがなく
何かノッキングを起こしたような展開で盛り上がりに欠ける。

高宮が担架の上で死ぬ際に
わざわざ傾きかけているのと反対に
首を振り向けるのはいただけない。

この作品を見るかぎり
ハンサム・タワーズの中では高宮が一番目立つ。
女性では
本作は脇役であったが
「スター毒殺事件」で主演を務めた万里昌代にしか
そのスター性を感じない。

切れの悪い解決シークエンスにあって
ラストカットだけが粋で清々しい。

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『噂の娘』 [邦画(ア行)]

「噂の娘」(1935)★★★★☆60点
監督・脚本: 成瀬巳喜男
撮影: 鈴木博
録音: 道源勇二
美術: 山崎醇之輔
音楽: 伊藤昇
演奏: PCL管弦楽団
出演:
 御橋公(健吉、灘屋酒店店主)
 汐見洋(啓作、健吉の義父)
 千葉早智子(邦江、健吉の長女)
 梅園龍子(紀美子、健吉の次女)
 伊藤智子(お葉、健吉の二号)
 藤原釜足(叔父)
 大川平八郎(新太郎)
 三島雅夫(山本理髪店)
 瀧澤修(理髪店の客)
 大村千吉(灘屋酒店店員)
 水上玲子(紀美子の友達)
製作・ジャンル: ピー・シー・エル映画製作所/ドラマ/55分

1.jpg

凋落の道を歩む老舗の酒屋を舞台に、悲喜こもごもを描く。

大変遅まきながら
これが私の成瀬巳喜男デビュー。

千葉の和顔は落ち着く。
彼女の演技は周りを安心させる母性を感じる。
他の役者に比べて、台詞回しも格段に自然で
安心してキャラクターに感情移入していける。

長女は父を思い、家族を思う。
長子らしい実直で気配りの厚い姿を見ると
古き良き日本の家庭に思いを馳せる。
良くも悪くも、今時の長男・長女は、
そういった役割を背負うことは少なくなった。
かく言う私もその一例。

カット終わりの
千葉の目線の変化、あれは意図的な演出に思える。
同じパターンが一度ならずあり、
一度なら粋に思えることも
何度も見せられることで、陳腐に成り下がる。
情感のある千葉の演技を逆に殺してしまう。

演技もカット割りもノッキングを起こしているような印象。
引きの画よりもパーンを使っていることもその一因。
カメラマンの手ぶれや引き戻しなど、
技術の甘さもそれを助長している。

また、これは多分に好みの問題であるが
家具屋の家具、おでん屋の暖簾など、
話の中に出てくる指示名詞の対象を
一々スポットで捉えるカメラワークが気に入らない。
心情を代弁するために用いた小津の情景カットとは
まったく意味合いを異にする。

隠居の身である啓作の存在がポイントとなっている。
遊んだ人間の鷹揚さが、
冷静に、だが優しく登場人物たちを見つめているのがいい。

この作品は
チェーホフの「桜の園」を下敷きにしていると聞く。
しかし、ロシアや英国のような階級の存在しない日本に
その没落の悲哀を投影することは難しい。

フィルムのせいか、滑舌のせいか
代 "れ" られるに聞こえるが
「何、看板が代えられるだけだよ」
という、啓作の達観した台詞が何とも物悲しく
ここに、階級に関わらない哀切が集約されているように思う。

"次、どんな店構えになるか"
理髪店店主と客が賭けよう、と話すラストシーン。
所詮は他人事、他人の不幸を慰みにする
いかにも、庶民的で俗な残酷さが効いている。

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