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『ジンジャーとフレッド』 [洋画(サ行)]

「ジンジャーとフレッド」(1985)★★☆☆50点
原題: GINGER ET FRED
英語題: GINGER AND FRED
監督・脚本: フェデリコ・フェリーニ
製作: アルベルト・グリマルディ
脚本: トニーノ・グエッラ、トゥリオ・ピネッリ
撮影: エンニオ・グァルニエリ、トニーノ・デリ・コリ
美術: ダンテ・フェレッティ
衣裳デザイン: ダニロ・ドナティ
音楽: ニコラ・ピオヴァーニ
出演:
 マルチェロ・マストロヤンニ(ピッポ・"フレッド"・ボッティチェラ)
 ジュリエッタ・マシーナ(アメリア・"ジンジャー"・ボネッティ)
 トト・ミニョネ(トト)
 フレデリック・フォン・レデブール(アウレンティ海軍大将)
 アウグスト・ポデロージ(女装家)
 フランコ・ファブリッツィ(番組のホスト
 マーティン・マリア・ブラウ(アシスタント・ディレクター)
 エツィオ・マラーノ
 フリードリッヒ・フォン・サン
 サルヴァトーレ・ビラ
 フランチェスコ・カセール
 ヘルマン・ヴァイスコップ
 モアナ・ポッツィ
製作・ジャンル: イタリア/フランス/西ドイツ/ドラマ/128分

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ハリウッド・ミュージカルで大活躍だった
ジンジャー・ロジャースとフレッド・アステア。
かつて、そのコンビを模して人気を博したアメリアとピッポ。
TVの特別番組で、30年ぶりに共演する二人を描いた作品。

マストロヤンニの登場まで、
ジンジャーことアメリアを追って物語は進む。

アメリアは
とてもプライドが高く、何事にもきちんとした性格。
プロ意識が高いと言えばそうなのだが
ちょっと鼻もちならないタイプで、どうも好きになれない。
素顔はもちろんのこと、他の作品でも観ていないので
G・マシーナがどんな女優なのか、何とも言えないが、
アメリアは、そういったカチッとしたダンサーに描かれている。

二人の再会の場となるのは、クリスマスの特別TV番組。
ゲイ、モノマネ芸人、小人症のパフォーマウスグループから
元海軍大将まで、
集められた面々を見るに、まるで見世物小屋のよう。
出演するアメリアは不安や後悔に襲われるが
当時のイタリア風俗を知る上でも、観ている者にはとても面白い。

女が堅物とくれば、男は…
マストロヤンニが演じるピッポはそんな男。

ダンスのリハーサルで、リフトに息を切らせるピッポ。
本番でも、タップ中に転倒してしまう。
それでも、再び立ち上がり最後までやり遂げる様は
いじらしくもあり、いじましくもあり。
マストロヤンニが踊れる人だと知らなかったので
彼のダンスには感激した。

双方の性格を考えるとき
以前、ピッポはアメリアに惹かれていた、
という側面が見えてこない。
それゆえ
二人を個別に観ている分には、
慌ただしく物事が進む現代のテンポの速さや、低俗なTV至上主義、
それらに翻弄される姿に悲哀を感じるのだが、
二人の関係を思うとき
コンビとして活躍していた往時を懐かしむ、郷愁の念は理解できても
かつての恋人たちに、行き交うケミストリーを実感できない。

そこがしっかり描かれていてこそ
ラストの淡白な別れのシーンが生きてくるのではないだろうか。

いろんな意味で淋しさを感じる作品だった。
 
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『スティング/ブリムストン&トリークル』 [洋画(サ行)]

「スティング/ブリムストン&トリークル」(未)(1982)★★★★☆75点
原題: BRIMSTONE & TREACLE
監督: リチャード・ロンクレイン
製作: ケニス・トロッド
製作総指揮: ネイム・アタラー
脚本: デニス・ポッター
撮影: ピーター・ハナン
音楽: マイケル・ナイマン
出演:
 スティング(マーティン・テイラー)
 デンホルム・エリオット(トム・エジーキエル・ベイツ)
 ジョーン・プロウライト(ノーマ・ベイツ、トムの妻)
 スザンナ・ハミルトン(パトリシア・ベイツ、トムの娘)
 メアリー・マクラウド(ヴァレリー・ホールズワース、トムの秘書)
 ベンジャミン・ホイットロー(ビジネスマン
 ダドリー・サットン(浮浪者)
 ティム・プリース(牧師)
製作・ジャンル: 英国/ドラマサスペンス/85分

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轢き逃げに遭い口も利けない寝たきり状態の娘を抱えた夫婦宅に
詐欺師まがいの青年が言葉巧みに入り込むサスペンス映画
TVドラマを映画としてリメイクしたもの。

当時、ポリスのベーシスト・ボーカリストとして脚光を浴びていた
スティングが主人公マーティンに扮した。

"ミュージシャン" スティングと言うと
スタイリッシュでクールなイメージが強かったが
演技をする彼は、随所に人懐っこい表情を見せ
いい意味で、予想を大きく裏切ってくれている。
と言っても、もう30年前の映画なのだが…
ともあれ
その柔らかく親しみ深い部分があるからこそ、
マーティンの、残酷・狂気を孕んだ側面が生きている。

ドラマのほとんどが、
主要3人により、ベイツ宅という特定の空間で繰り広げられる。
マイケル・ケインとクリストファー・リーヴが出演した
「デストラップ」を思わせ、実に演劇的。
現に、映画化に先んじて、舞台化が実現している。

トムを演じたD・エリオットは
「インディ・ジョーンズ」シリーズなど
ハリウッド映画でも活躍した名脇役。
本作でも、信仰心薄く疑り深い偽善者を堅実に演じている。

ノーマ役のJ・プロウライトも、知る人ぞ知る名女優
かのローレンス・オリヴィエの妻だった人であり、
ここでも、実直で可愛らしい妻を演じて
舞台に映画に活躍した演技力を発揮している。

エンディング・ロールで流れる『Spread a Little Happiness』は
ウェストエンドのオーソドックスなミュージカルナンバーっぽいなあ
と思って調べてみたら、
本当に、1920年代初演・80年代リバイバル上演された
「Mr. Cinders」というミュージカルのヒットナンバーだった。

この曲を含め、
スティングが、作品中の多くのナンバーを歌っている。
かと言って、
彼の人気におんぶに抱っこの
スティング・フィーチャー映画に留まっていないのは、
先にも書いたように
演劇的な脚本と、実力確かな脇役陣に支えられているからである。
日本未公開作品だというのが、何とも解せない。

マーティンがパトリシアに襲い掛かるのが少々急で、
スリルやサスペンスといった要素は弱い。
1時間半に満たない、尺の短さを考えると
マーティンが悪魔の本性を見せるまでの過程を
もっとじっくり描いてもいいだろう。

30年の時を経て、思わぬ拾い物。
 
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『死ぬまでにしたい10のこと』 [洋画(サ行)]

「死ぬまでにしたい10のこと」(再)(2003)★★★★☆80点
原題: MY LIFE WITHOUT ME
監督・脚本: イザベル・コイシェ
製作: エステル・ガルシア、ゴードン・マクレナン
製作総指揮: アグスティン・アルモドバル、ペドロ・アルモドバル、オグデン・ギャヴァンスキー
撮影: ジャン=クロード・ラリュー
出演:
 サラ・ポーリー(アン)
 スコット・スピードマン(ドン、アンの夫)
 デボラ・ハリー(アンの母)
 マーク・ラファロ(リー)
 レオノール・ワトリング(アン、アンの隣人)
 アマンダ・プラマー(ローリー、アンの夜間清掃仲間)
 ジュリアン・リッチングス(トンプソン、担当医)
 マリア・デ・メディロス(美容師)
 アルフレッド・モリナ(アンの父)
 ジェシカ・アムリー(ペニー、アンの長女)
 ケーニャ・ジョー・ケネディ(パッツィー、アンの次女)
 ディアンナ・ヘンリー(ソニー、ウェイトレス)
製作・ジャンル: カナダ=スペイン/ドラマ・ロマンス/106分

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弱冠23歳にして余命2ヶ月の宣告を受けた女性が
残されたわずかな時間の中で、
自分や周りの人間と改めて向き合う姿を描いた作品。

S・ポーリーが演じる主人公アンには、透明感があふれている。
その透明感は
決して生活感のない無機質なものではなく、
日常にしっかり根を下ろした実存的なものである。

自分の死後、娘に毎年誕生日メッセージを贈ると決めるアン。
夜中、車の中一人、
テープにメッセージを吹き込む姿は切なくも美しい。

無邪気な2人の娘。
単純だが、素朴で朗らかな夫。
過去を悔い、他人に素直になれない母。
心を病み、過食に走る友。
トラウマを抱えた隣人。
身近にいるのは、実直で優しい存在ばかりだ。
それが、迫りくるアンの死をより悲しいものにする。

病院に運ばれたアンを検査するために初めて登場した時には
その特徴的な顔つきから、
嫌味なふざけた医者かなと思わせたトンプソン先生。
実は、心優しい誠実な医師だったことが
とても意外で、無性に嬉しくなった。

ジンジャー味のキャンディーでつながった2人の心。
そんなちっぽけなことでさえ
人の愛の尊さ・美しさを感じさせてくれる。

唯一白けてしまったのは
スーパーマーケットでの一瞬の空想シーン。
踊る客や従業員の様がぎこちなくて中途半端なのだ。
やるなら徹底的に、あるいはスタイリッシュにやってほしい。

アンはリーのことを本当に愛していたのだろうか。
リストアップした項目の一つであった "別の男との恋" を叶えながらも
アンはリーを愛していたのではなく
最後の生を精一杯素敵なものにしたいという
自らの生に対する執着でありエゴであったろう。
だが、その立場に立ったことのない人間には
それを云々する資格はないように思う。

アンがリストアップした "死ぬまでにしたい10のこと"。
1. 娘たちに、一日に何度も "愛してる" と言う
2. ドンに、娘たちの気に入る新婦を探す
3. 娘たちが18歳になるまで毎年誕生日に贈るための、メッセージを録音する
4. 家族でビーチにピクニックに出かける
5. 好きなだけ、酒とタバコを楽しむ
6. 思っていることを話す
7. 他の男性とHしてみる
8. 誰かを恋の虜にしてみせる
9. 刑務所にいる父親に会いに行く
10. つけ爪をする(そして、ヘアスタイルを変える)

私なら、どんな項目を並べるだろうか。

タイトルの "MY LIFE WITHOUT ME" が示すように
慈しみたっぷりにアンが残したメッセージは、
彼女と絆を育んだ者たちに
生きる喜びをきっと再認識させてくれるにちがいない。
 
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『戦火の馬』 [洋画(サ行)]

「戦火の馬」(2011)★★★★☆75点
原題: WAR HORSE
監督・製作: スティーヴン・スピルバーグ
製作: キャスリーン・ケネディ
製作総指揮: フランク・マーシャル、レヴェル・ゲスト
原作: マイケル・モーパーゴ
脚本: リー・ホール、リチャード・カーティス
撮影: ヤヌス・カミンスキー
プロダクションデザイン: リック・カーター
衣装デザイン: ジョアンナ・ジョンストン
音楽: ジョン・ウィリアムズ
編集: マイケル・カーン
出演:
 ジェレミー・アーヴァイン(アルバート・ナラコット)
 エミリー・ワトソン(ローズ・ナラコット、アルバートの母)
 ピーター・ミュラン(テッド・ナラコット、アルバートの父)
 デヴィッド・シューリス(ライオンズ、デイヴィッドの父・地主)
 マット・ミルン(アンドリュー・イーストン、アルバートの親友)
 トム・ヒドルストン(ニコルズ大尉)
 セリーヌ・バッケンズ(エミリー)
 ニエル・アレストリュプ(エミリーの祖父)
 デヴィット・クロス(ギュンター)
 レオンハルト・キャロウ(ミヒャエル)
 ベネディクト・カンバーバッチ(ステュアート少佐)
 ロバート・エムズ(デイヴィッド・ライオンズ)
 トビー・ケベル(コリン、英国兵士)
 パトリック・ケネディ(シャルリエ・ウェイバリー中尉)
 エディ・マーサン(フライ軍曹)
 ニコラス・ブロ(フリードリヒ)
 ライナー・ボック(ブラント)
製作・ジャンル: 米国/ドラマ・戦争・動物/146分

戦火の馬(スティーブン・スピルバーグ監督) [DVD]






S・スピルバーグが第1次大戦を舞台に
一頭の徴用馬と、それを育てた少年との友情と絆を描いたドラマ。

主演のJ・アーヴァインは、本作がデビュー。
日本のドラマでも、子役の活躍が目覚しい昨今だが
普通に台詞を言える才能さえあれば、
必ずしも深みの必要のない、純粋な子供心を
表現するのには難はなく、
それなりに高い評価を受けるだろう、
というのが私の子役観の一つである。
棒読みせず、自分の言葉として会話できるということは
その役の背景や人間関係を無意識に理解できている証だと思う。

共演者クレジットの中には
強力サポーターのエミリー・ワトソンが名を連ねている。
彼女の出演舞台「十二夜」を、NYで観たことがある。
「十二夜」と言えば、シェイクスピア作品の中でも
最も多く上演される喜劇の一つである。
私自身も、アントーニオー役で舞台を踏んだことがあるし
客席からも何度も観ている作品であるが
このコメディにあって、涙を流したのは
彼女エミリー・ワトソンの演技に対してだけである。
喜劇として位置づけられる作品であっても
全編が笑いをとることに向けて描かれているわけではなく、
"心根の美しさや、憐憫の情を掻き立てる瞬間だってあるのだ"
ということを知らしめてくれた名女優である。
ちなみに、
本作では肝っ玉母さん・しっかり女房を演じている彼女、
「十二夜」では、公爵に恋する主役の乙女を演じていた。

馬という動物は、本当に美しい。
駆ける躍動感、飛越の美しさ、流れる鬣。
他の動物とは一線を画す華麗と優雅さを感じる。

生まれたときから、駿馬と評価された "ジョーイ" は
気性が荒く、嫌われることも多いが
プライドと自由への渇望を源とする点で
ただ気の強い荒馬とは違っていた。

アルバートの父、テッド。
のちにジョーイと名づけられる仔馬を
小作料のかたに入れ、
農耕馬としても、簡単に見切りをつけてしまう。
あまりにもアッサリしすぎていて、
妻に無断で大枚はたいてまで競り落とした理由が薄弱。
競りの段階で
仲間から、サラブレッドは農耕馬には向かないと
諌められていたのに
その反対を押し切って手に入れたのには
何かしらジョーイの才能を信じていたはずなのに…

タイトルどおり
徴用されたのちは、数々の戦場を乗り切っていくわけだが
映画の大半を占めるそのシーンについては
少々中弛みする感を否めない。

ジョーイの後を追おうとするも、
年齢制限で叶わなかったアルバートも
一次大戦が長引く中、
戦場にて、ジョーイと再会を果たす。
四白(四肢の足元が白い)で
鼻面にダイヤモンド型の白い流星があるジョーイ。
泥に黒く汚れていたために、
自分の馬だというアルバートの主張は認められない。
泥が拭われ、真実が明らかになるオーラス。
筋書きは分かっていても、ジーンときてしまう。

その後、戦争は終結し
再び競りにかけられるジョーイ。
競り落としたのは、フランス人娘エミリーの祖父で
ジョーイが戦火をくぐり抜ける中で出会った人たちの一人。
彼からアルバートの手に戻される、このシークエンス
ドラマチックに描くのに失敗しているが、
それでも涙が静かにこみ上げてくる。

ジョーイとともに
テッドの南ア戦線で活躍した証である "小旗" が旅をする。
父子、そしてアルバートとジョーイを結びつける
大切なアイテムの一つであるが
手笛がその役目を十分に果たしているのに対し、
こちらの小旗はもう一つ効果的でない。

子供と動物には勝てない、と言われる映像界。
戦火をバックにその美しさがいや増している本作も
少年をはじめとする人との絆に感動し
ジョーイの持つ意思とプライドに美学を感じる。
 
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『ジョン・カーペンターの 要塞警察』 [洋画(サ行)]

「ジョン・カーペンターの 要塞警察」<未>(1976)★★★★☆80点
原題: ASSAULT ON PRECINCT 13
監督・脚本・音楽・編集: ジョン・カーペンター
製作: J・S・カプラン
製作総指揮: ジョセフ・カウフマン
撮影: ダグラス・ナップ
美術監督: トミー・ウォーレス
出演:
 オースティン・ストーカー(イーサン・ビショップ警部補)
 ダーウィン・ジョストン(ナポレオン・ウィルソン、死刑囚)
 ローリー・ジマー(リー、女性警察職員)
 ナンシー・カイズ[ルーミス](ジュリー、女性警察職員)
 マーティン・ウェスト(ローソン、キャシーの父)
 キム・リチャーズ(キャシー・ローソン)
 トニー・バートン(ウェルズ、囚人)
 ピーター・フランクランド(コーデル、囚人)
 ヘンリー・ブランドン(チェイニー、アンダーソン分署巡査部長)
 チャールズ・サイファーズ(スターカー)
 ピーター・ブルーニ(アイスクリーム屋)
 マーク・ロス(トラマー、巡回警官)
 アラン・コス(バクスター、巡回警官)
製作・ジャンル: 米国/サスペンス・アクション/90分

要塞警察 デラックス版 [DVD]

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ジョン・カーペンターが
西部劇「リオ・ブラボー」と
ホラー映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」に
触発されて製作したというアクション映画。
日本未公開作品。
移転完了間際の警察署を舞台に
警官と囚人が期せずして協力し、凶悪なギャングに挑む姿を描く。

殺された娘の復讐のため
ギャングを追走して、その一人を撃ち殺すまでは理解できるが、
相手は4人。
残りの3人が仕返しに来ることは馬鹿でも分かること。
弾がなくなったのなら、射殺した男のショットガンを奪えばいい。
車で逃げるのならまだしも、
車を置いて徒歩で近くの電話ボックスに向かうなど愚の骨頂。
無関係な少女を平気で射殺するような殺人集団を相手に
とる行動とは思えない。
この行動がすべて、惨事を招く元凶かと思うと
この男・ローソンに無性に腹が立つ。

"チョロ" という血の誓いの元に
無差別攻撃を仕掛けてくるストリートギャング。
その集団の目的や実態が見えないという側面、
外部に異状を察知させないために、
死体や車をあっという間に片付け
容易に "通常" を装ってしまう組織力、
そして、決して諦めない執拗な冷酷さが
恐怖感を無限に増幅させていく。

特に、"得体の知れない恐怖" は
J・カーペンターのその後の作品にも引き継がれるコンセプトだ。

自分の命大事で、まず自分が助かることを優先に考えた
ジュリーやウェルズが死に、
ローソンを守るために闘うことを選んだ3人が生き残る現実は、
運命の皮肉でもあり、因果応報・優等生的な結末にも映る。

全編に漂う集団の異様さと、
多勢に無勢の絶体絶命の緊迫感が
1時間半を一気に駆け抜ける傑作。

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『紳士は金髪がお好き』 [洋画(サ行)]

「紳士は金髪がお好き」(1953)★★★★☆80点
原題: GENTLEMEN PREFER BLONDES
監督: ハワード・ホークス
製作: ソル・C・シーゲル
原作: アニタ・ルース(小説・戯曲)、ジョセフ・フィールズ(戯曲)
脚本: チャールズ・レデラー
撮影: ハリー・J・ワイルド
作曲: ジュール・スタイン、レオ・ロビン、ホギー・カーマイケル、ハロルド・アダムソン
オーケストラ編曲: アール・ヘイゲン、バーナード・メイヤーズ
音楽監督: ライオネル・ニューマン
美術: ライル・ウィーラー、ジョセフ・C・ライト
振付: ジャック・コール
出演:
 マリリン・モンロー(ローレライ・リー、ダンサー)
 ジェーン・ラッセル(ドロシー・ショー、ダンサー)
 チャールズ・コバーン(フランシス・"ピギー"・ビークマン)
 トミー・ヌーナン(ガス・エズモンド)
 エリオット・リード(アーニー・マローン、私立探偵)
 ジョージ・ウィンスロウ(ヘンリー・スポフォード3世)
 ノーマ・ヴァーデン(ビークマン夫人)
 テイラー・ホームズ(ガスの父)
 マルセル・ダリオ(判事)
 アレックス・アキーモフ(ボーイ長)
 スティーヴン・ギレイ(ホテル支配人)
 ハリー・ケリー・ジュニア(ウィンスロー、オリンピック選手)
 アルヴィ・ムーア(ウィンストン、オリンピック選手)
 ジョージ・チャキリス
製作・ジャンル: アメリカ/コメディ・ミュージカル/92分

紳士は金髪がお好き [DVD]








ブロードウェイのミュージカル劇の映画化。
ロマンスを絡めた、美人ダンサー2人の渡仏珍道中を描いた作品。

甘え体質で一見頭の足りない金髪ローレライは、金で男を判断する。
姉御肌のクールな黒髪ドロシーは、ルックスで判断する。
二人とも、互いのことを
男選びが下手で自分が付いていないとダメだ
と思っているのが微笑ましい。

歌いながら同じ振付で踊る二人だが、
そのダンスのテイストも、キャラクターを反映するかのように
ドロシーは硬めの動きにキレを感じるが、
ローレライはソフトでしなやか。
呼び物であるはずのミュージカルシーンには
歌唱力・ダンスセンスとも特質するものはないが、
それを穴埋めして余りある魅力がこの主役二人にはある。

ローレライが盗まれたティアラを探す時間を稼ぐために
ドロシーはローレライに成りすまして裁判に出る。
モンローに似せて
金髪のかつらを被り、色白にメイクアップしたラッセル。
その化けっぷりはなかなかのもの。
二人並べばずいぶん違うが、
単体なら目の悪い保険屋を騙すには十分。

パーティ会場で、自分を利用して小遣い稼ぎをしようとするボーイ長。
"パーティに出席しない" と示唆して
自分の要求を飲ませるローレライのほうが一枚上。
終盤、見事な切り返しで、エズモンドの父を言葉に詰まらせる件は
ローレライの魅力をさらにアップさせる気持ちの良いシーン。
彼女は、実は結構賢いというところを随所に見せている。

閉じ込められた部屋から、円窓を抜けて脱出しようとするが
一人では抜けきれず、ヘンリーに助けを求めるローレライ。
このガキは、泥棒を手助けする理由として
子供は刑務所に送られないことと
ローレライにはたまらない魅力があることを挙げる。
何ともはや、小憎らしいほどませているのだ。
ヘンリーの機転で
通りがかったピギーをやり過ごすために
ブランケットを使って、二人羽織状態で誤魔化す場面は
私の大のお気に入り

ストーリーについて疑問が一つ。
ピギーが、女房怖さに
"ティアラはローレライに盗まれた" と嘘をつくのは理解できるが、
それを自らわざわざ盗み出し
さらにローレライを追い込むような愚挙に出る動機が解らない。

とにかく、タイプの違う美女を一つの作品で堪能できるのが嬉しい。
とりわけ、モンローの場合は
金髪と肌の白さが、
彼女の美しさを明るく華のあるものにグレードアップしている。
さすがに一世を風靡したセックス・シンボルである。

それに引き換え
マローンを演じるE・リードに、もう一つ魅力がなく、
"ハンサムな男に目がない" という
ドロシーのキャラクターを裏づけるに及ばない。

性格の全く違う美女二人が、互いを思いやるホントに仲の良い親友だというのが
全編通してよく伝わってきて、観る者を幸せな気分にしてくれる。
主題歌「Diamonds Are a Girl's Best Friend(ダイヤは女の最高の友だち)」の
ダイヤモンドとは、まさしく
ローレライにとってのドロシー、
ドロシーにとってのローレライなのだ、と。

トリヴィア。
船内でのトレーニングをダンスナンバーにに仕立てた場面で
G・チャキリスがコーラスとして参加している。

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『シルバラード』 [洋画(サ行)]

「シルバラード」(再)(1985)★★★★☆80点
※(再):私が以前に観たことのある作品
原題: SILVERADO
監督・製作・脚本: ローレンス・カスダン
脚本: マーク・カスダン
製作総指揮: チャールズ・オークン、マイケル・グリロ
撮影: ジョン・ベイリー
音楽: ブルース・ブロートン
美術: アイダ・ランダム
衣装: クリスティ・ジー
出演:
 ケヴィン・クライン(ペイドン)
 スコット・グレン(エメット)
 ケヴィン・コスナー(ジェイク、エメットの弟)
 ダニー・グローヴァー(マル)
 ブライアン・デネヒー(コッブ、保安官)
 リンダ・ハント(ステラ、"ミッドナイトスター" の店主)
 ジェフ・ゴールドブラム(カルビン"スリック")
 リン・ウィットフィールド(レイ、マルの妹)
 ロザンナ・アークェット(ハンナ)
 マービン・J・マッキンタイア(店員)
 ジョン・クリーズ(ラングストン、英国人保安官)
 ビル・サーマン(カーター、酒場の主人)
 オートリー・ウォード(ペイドンの帽子を盗んだ男)
 ジェームズ・ギャモン(ドーソン)
 トロイ・ウォード(バクスター)
 パトリシア・ゴール(ケイト・ホリス、エメットの姉)
 アール・ハインドマン(J・T・ホリス、ケイトの夫)
 トーマス・ウィルソン・ブラウン(オーギー・ホリス、ケイトの息子)
 リチャード・ジェンキンス(ケリー、"ミッドナイトスター" の博打担当)
 レイ・ベイカー(マッケンドリック)
 テッド・ホワイト(ホイト)
 ロス・ローニィ(レッド)
 ジェフ・フェイヒー(タイリー、保安官助手)
 サム・ゴーニー(ガース、保安官助手)
 ケン・ファーマー(カイル、保安官助手)
 アマンダ・ワイス(フィービー)
製作・ジャンル: 米国/西部劇・アクション/133分

シルバラード [DVD]








兄弟に黒人、そして悪党の元仲間
といった具合に立場も様々な心優しき4人のガンマン。
期せずして、組して悪に挑む闘いを描く。

ちょっとやんちゃなエメットの弟に若きK・コスナー。
陽気で溌剌とした青年ガンマンを好演。

K・クライン、S・グレン、D・グローヴァーは
落ち着いた大人の正義漢をそれぞれ渋い魅力で彩っている。

少し謎めいた存在のJ・ゴールドブラムも
脇役ながら、物語にアクセントを与える。

私が特に気に入ったのは
お互いを気遣うステラとペイドンの関係。
人情味たっぷりで、心温まる情景だ。

燃えさかるホリス家の炎をバックに、
コッブがペイドンに向かって歩く。
これは、とても印象的なカット。
効果的に "悪" を演出している。

迫力ある牛の暴走シーンは壮観。

大ボス・コッブとペイドンの対決は
あまりにあっけないが
正々堂々たる1対1の果し合いとは意外だった。

前面に出ては来ないが
R・アークェット扮するハンナとエメットの静かな恋も素敵だ。

出会いと別れ、悪vs正義、家族愛、兄弟愛、復讐、過去の清算。
そして、バラエティに富んだガンファイト。
見どころ満載で観るものを飽きさせないスタイリッシュな西部劇。
流れる音楽も勇壮でかつ現代風。

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『スラムドッグ$ミリオネア』 [洋画(サ行)]

「スラムドッグ$ミリオネア」(2008)★★★★☆80点
原題: SLUMDOG MILLIONAIRE
監督: ダニー・ボイル
共同監督: ラヴリーン・タンダン
製作総指揮: ポール・スミス、テッサ・ロス
製作: クリスチャン・コルソン
原作: ヴィカス・スワラップ「ぼくと1ルピーの神様」
脚本: サイモン・ボーフォイ
撮影: アンソニー・ドッド・マントル
プロダクションデザイン: マーク・ディグビー
衣装デザイン: スティラット・アン・ラーラーブ
編集: クリス・ディケンズ
音楽: A・R・ラフマーン
出演:
 デーヴ・パテル(ジャマール・K・マリク)
 マドゥル・ミッタル(サリーム・マリク、ジャマールの兄)
 フリーダ・ピント(ラティカ)
 アニル・カプール(プレーム・クマール、"クイズ$ミリオネア" MC)
 イルファーン・カーン(警部)
 アーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカール(幼少ジャマール)
 タナイ・チェーダー(少年ジャマール)
 アズルディン・モハメド・イスマイル(幼少サリーム)
 アーシュトーシュ・ローボー・ガージーワーラー(少年サリーム)
 ルビーナ・アリ(幼少ラティカ)
 タンビ・ガネーシュ・ロンカル(少女ラティカ)
 サンチータ・チョーダリー(ジャマールたちの母)
受賞:
 アカデミー賞
  ■作品賞
  ■監督賞 ダニー・ボイル
  ■脚色賞 サイモン・ボーフォイ
  ■撮影賞 アンソニー・ドッド・マントル
  ■作曲賞 A・R・ラフマーン
  ■歌曲賞 Gulzar “Jai Ho”(詞)、A・R・ラフマーン “Jai Ho”(曲)、A・R・ラフマーン “O Saya”(曲/詞)、Maya Arulpragasam“O Saya”(詞)
  ■音響賞(調整) Ian Tapp、Richard Pryke、Resul Pookutty
  ■編集賞 クリス・ディケンズ
 全米批評家協会賞
  ■撮影賞 アンソニー・ドッド・マントル
 NY批評家協会賞
  ■撮影賞 アンソニー・ドッド・マントル
 LA批評家協会賞
  ■監督賞 ダニー・ボイル
 ゴールデン・グローブ
  ■作品賞(ドラマ)
  ■監督賞 ダニー・ボイル
  ■脚本賞 サイモン・ボーフォイ
  ■音楽賞 A・R・ラフマーン
 英国アカデミー賞
  ■作品賞
  ■監督賞 ダニー・ボイル
  ■脚色賞 サイモン・ボーフォイ
  ■作曲賞 A・R・ラフマーン
  ■撮影賞 アンソニー・ドッド・マントル
  ■編集賞 クリス・ディケンズ
  ■音響賞 Ian Tapp、Tom Sayers、Richard Pryke、Resul Pookutty、Glenn Freemantle
 ヨーロッパ映画
  ■撮影賞 アンソニー・ドッド・マントル「ANTICHRIST」に対しても
  ■観客賞
 放送映画批評家協会賞
  ■作品賞
  ■若手俳優賞 デヴ・パテル
  ■監督賞 ダニー・ボイル
  ■脚本賞 サイモン・ボーフォイ
  ■音楽賞 A・R・ラフマーン
製作・ジャンル: 英国/ドラマ・コメディ・ロマンス/120分

スラムドッグ$ミリオネア [DVD]








昨年アカデミー賞で、作品賞をはじめ8部門に輝いたボリウッド映画。
インドを舞台に "クイズ$ミリオネア" に挑むスラム出の一人の青年。
不正を疑う警察の尋問の中で語られる
その半生と人間関係を交錯させながら描く冒険サクセスストーリー。

主人公のジャマールは、結果的に大金を手にするが
彼にとって金は問題ではない。

幼い頃に出会い恋心を抱いたラティカを守らんがために
彼女をひたすら探し求めるのだ。

貧困から抜け出し金をつかむことが第一で
自らマフィアの一員になる兄サリームとの対比は
ありがちな設定で
ストーリーも定石どおりに展開する。

冒頭で、閉じ込められたトイレを脱出するために
肥溜めに飛び込むシーンは
笑えるとか健気とか言うよりも
さすがに少々嫌悪感が勝ってしまった。
スラムの状況を物語る一エピソードとしては十分。

物乞いで倍額儲けられるからと
歌の上手い少年が目をつぶされるのも
インドの貧困を象徴している。
中国などとともに、経済先進国の仲間入りする陰で
その国内では格差がますます広がっていく。

サリームの裏切りがもう少し強烈に描かれていると
ラストで彼が弟とラティカのために自らを犠牲にする様が
哀愁を帯びることだろう。

どんな大作・新作であろうと
私は、なるべくストーリーや作風に関する情報を入れず
先入観を持ったり先読みしたりできない真っ白な状態で
鑑賞に臨むことを楽しみにしている。
だが今回は、鑑賞する直前、劇場に同行した者に
"ラブストーリーで涙あふれる感動作" だと
おせっかいな情報を聞かされたために
オーラスの展開が想像でき、ラストの感動が薄いものとなった。

それでもなお
アドベンチャラスなエンターテインメントとして十分に楽しんだ。
数々の賞を受けたことに納得する一方で
新味・意外性が全くないことを考えると
アカデミー賞作品としては少々物足りない。

エンディングで踊りはじめるのを目にして
"やっぱりインド映画は踊るんだ" と思わず失笑してしまった。
元来、楽天的な国民であることを示唆している。
踊りながら皆が手にしている黄色いストール
"幸福の黄色いハンカチ" を思わせた。

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『ジョニーは戦場へ行った』 [洋画(サ行)]

「ジョニーは戦場へ行った」(1971)★★★★☆80点
原題: JOHNNY GOT HIS GUN
監督・原作・脚本: ダルトン・トランボ
製作: ブルース・キャンベル
撮影: ジュールス・ブレンナー
音楽: ジェリー・フィールディング
出演:
 ティモシー・ボトムズ(ジョー・ボナム)
 キャシー・フィールズ(カリーン、ジョーの恋人
 ジェイソン・ロバーズ(ジョーの父親)
 マーシャ・ハント(ジョーの母親)
 ドナルド・サザーランド(キリスト)
 ダイアン・ヴァーシ(第4の看護婦)
 デヴィッド・ソウル(スウェーデン人)
 モーリス・ダリモア(英国軍大佐)
 エドワード・フランツ(テイラリー、軍医)
受賞:
 カンヌ国際映画祭
  ■審査員特別グランプリ ダルトン・トランボ
  ■FIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞 ダルトン・トランボ
  ■国際エヴァンジェリ映画委員会賞 ダルトン・トランボ
製作・ジャンル: 米国/ドラマ/111分

ジョニーは戦場へ行った [DVD]








第一次大戦の欧州戦線に送られた負傷兵ジョー・ボナムの
孤独な苦悩を回想や空想を交えて描き出した秀作。

名作としてタイトルは知っていたのだが
長年、触手が伸びることはなかった。
前線での戦闘シーン満載の戦争映画かと思いきや、
戦傷から両手脚を切り落とされ
口も利けなければ聴覚も失ってしまった兵士の苦闘が
綴られる意外性に驚いた。

作品中で確認は取れないが
ジョー本人の感覚を信じるならば
彼は目も下顎さえ失っている。

手脚を失いながらも
軍が彼を生き永らえさせる理由は
ジョーは大脳の働きを失っていると判断しているからであり
人格を認めないからこそ、
格好の研究材料として踏み切った措置であった。

だが、映画の冒頭において
"大脳は重大な損傷を負っていて
苦痛や快楽を感じず、記憶・夢・思考も奪われる"
という解説がありながら、同時に
"彼に苦痛が分かるとも考えて、感情の交流を避けねばならぬ"
という説明もなされており
この時点で既に、ジョーの意思の有無について矛盾が生じている。
このことに引っかかってしまった観客は不運といわざるを得ず
思い切ってこれを捨象する他、映画を楽しむ方法はない。

ところが、ジョーの大脳は立派に働いていた。
そして、皮膚の触覚だけが彼の頼みの綱だった。

観ているうちに
映画「潜水服は蝶の夢を見る」を思い出した。
しかし、「潜水服は~」のジャン=ドーの比ではない。
ジャン=ドーは、運動神経が機能しなくなっただけだが
ジョーには視覚も聴覚もないのだから。
私なら、想像できないほどの苛立ちと焦燥感から
発狂するにちがいない。

意思を他人に伝える手段を持たぬジョーの思いは
切々とモノローグとして語られるが、
言い尽くせぬフラストレーションの中にも冷静さを感じる。
フラストレーションは
彼の空想・妄想となって展開されるのである。

ついには、
頭の動き(かぶり)によるモールス信号で
意思を伝えることにたどり着く。

この事実を目の当たりにした時
脳死状態を信じて疑わなかった主任軍医の驚きたるや。

自らを見世物にして衆目に晒してもらうこと、
さもなくば、殺してくれることを願い出るジョーに
軍関係者たちは何もしないことしか選択できなかった。
自分たちが生み出した悲劇に目をつぶったのである。

看護婦として、ジョーの世話をすることになるカリーン。
半端な頭蓋と胴だけになってしまった恋人を前に
彼女はどれだけ辛く切なかったことだろう。
安楽死させてあげようという思いも遂げられず
彼女も、ジョー同様、一生苦悩を抱えて生きていくにちがいない。

最後に流れる "祖国に命を捧げることは美しく輝かしい"
というテロップは、それ以上ない皮肉である。
戦争の悲惨さを痛烈に描いた作品。

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『ザ・ウォーカー』 [洋画(サ行)]

「ザ・ウォーカー」(2010)★★☆☆50点
原題: THE BOOK OF ELI
監督: アレン・ヒューズ、アルバート・ヒューズ
製作: ジョエル・シルヴァー、ブロデリック・ジョンソン、アンドリュー・A・コソーヴ、デヴィッド・ヴァルデス、デンゼル・ワシントン
製作総指揮: スティーヴ・リチャーズ、スーザン・ダウニー、エリック・オルセン
脚本: ゲイリー・ウィッタ
撮影: ドン・バージェス
美術デザイン: ゲイ・バックリー
衣装デザイン: シャレン・デイヴィス
編集: シンディ・モロ
音楽: アッティカス・ロス
音楽監修: デヴァ・アンダーソン
出演:
 デンゼル・ワシントン(イーライ "ザ・ウォーカー")
 ゲイリー・オールドマン(カーネギー)
 ミラ・クニス(ソラーラ、クローディアの娘)
 レイ・スティーヴンソン(レッドリッジ、カーネギーの手下)
 ジェニファー・ビールス(クローディア、カーネギーの情婦)
 フランシス・デ・ラ・トゥーア(マーサ、老婦人)
 マイケル・ガンボン(ジョージ、老人)
 トム・ウェイツ(技師)
 マルコム・マクダウェル(ロンバーディ)
 クリス・ブラウニング
 リチャード・セトロン
 ラティーフ・クラウダー
 エヴァン・ジョーンズ
 ジョー・ピングー
製作・ジャンル: 米国/SF・アクション・サスペンス/118分

bookofeli.jpg
一冊の本を携え
一人旅する"ウォーカー(旅人)" を描いたロードムービー。
サスペンス・アクション超大作と銘打ってはいるが
静かなアクションで展開される一種の宗教映画

舞台は世界が崩壊した近未来。
D・ワシントン演じるイーライが
一冊の本を西へ運ぶ天命を受けて西へと旅するのだが
それが聖書であることは自明で、謎も何もない。

聖書こそ世界を支配する術だと信じ、それを奪おうとするカーネギー。
イーライは彼に執拗な追撃を受けるわけだが
イーライの圧倒的な強さゆえか、その攻防にあまり見応えはない。
G・オールドマンも、悪役としての魅力を発揮しきれない。

カーネギーに "本" を奪われたまま旅を続けるイーライが
たどり着いた "西" とはサンフランシスコ。
ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)も登場。
挙句、アルカトラズ島へと舟を漕ぐ。

そのアルカトラズこそ、世界再生の拠点。
本を持たぬまま旅を続けだした時に、予測がつくことだが
長旅の間、毎日読み続けていた彼こそが
"聖書" となっていたのだ。

邦題では「ザ・ウォーカー」となっているが
原題では「THE BOOK OF ELI(イーライ書)」であり
クリスチャンでない私でも、何かキリスト教絡みかなと感じた。
たとえば
「ヨブ記」は "Book of Job"、「ダニエル書」は "Book of Daniel"
「エゼキエル書」は "Book of Ezekiel" などなど
旧約聖書に多い書名である。
英語圏の人間には、
タイトルを見ただけで中身の予測がついてしまうかもしれない。

イーライに帯同するソラーラの存在意義が不明。
愛する母を捨ててまで、イーライに付いて行く動機が薄弱。
使命を果たし絶命するイーライに変わって
新たな伝道の旅を引き継ぐと言った月並みなラストのために
用意されたとしか思えない。

キリスト教、あるいは宗教といったものに執着の薄い日本人にとって
この作品が受けるとは考えにくい。

「時計じかけのオレンジ」で名を馳せた
M・マクダウェルの名をクレジットで見つけるも
どこで登場したのか分からなかった。

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