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『かぶりつき人生』 [邦画(カ行)]

「かぶりつき人生」(1968)★★★☆70点
監督・脚本: 神代辰巳
企画: 大塚和
原作: 田中小実昌
撮影: 姫田真佐久
美術: 大鶴泰弘
音楽: 真鍋理一郎
録音: 太田六敏
照明: 岩木保夫
出演:
 殿岡ハツ江(洋子)
 丹羽志津(笑子)
 玉村駿太郎(勝チン、笑子の夫)
 中台祥浩(坂本っちゃん、芸能記者)
 花恵博子(秋子)
 名取幸政(恭やん)
 長瀬正典(倉さん、フランス座の演出家)
 水木達夫(ふとん屋)
 市村博(若いやくざ)
 吉田武史(錦ちゃん)
 新田紗子(少女)
 益田凡次(支配人)
 堺美紀子(かみさん)
 和田平助(刑事)
 田中小実昌(客)
製作・ジャンル: 日活/ドラマ/94分

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田中小実昌の同名小説の映画化。
のちに "ロマンポルノの巨匠" と呼ばれる神代の監督デビュー作。
女性の逞しさを描いたモノクロ映画である。

表面的なストーリーを追うのではなく、
登場人物各人の生き方に触れながら
親子・男女、といった人間関係を生々しく描こうとする姿勢が見える。

容色衰えてもストリップのステージに立ち続ける母・笑子が
男性に裸を見られることを快感に感じ
騙されても騙されても、本能的に男を求めるのに対し、
母を軽蔑しながらもストリッパーになる洋子にとって
ストリップも男も、自分の人生の階段を昇る手段にすぎない。

母とは似て非なる道を歩んだように見える洋子。
夫・坂本の存在が
ヒモ同様だった、母の夫・勝チンの姿とダブっていく。
そんな彼女が行き着いたのは
初恋の元やくざに刺されて病院に搬送される救急車の中。
共に救急車の車台に横たわるその男に、
洋子は「一緒にバーを出そう」と小さな夢を語るのである。

冒頭に流れる短いテーマソング。
♪男は男、女は女、みんなはみんな♪ という歌詞は端的にて秀逸。

洋子を演じた殿岡のダンスは
モダンダンス調でキレがありシャープで美しい。
体型も崩れ、洗練という言葉とは無縁の踊りを見せる母との対照は
生きざまの違いを一層際立たせる要素となっている。

夫殺しを画策するも、実行には移すことのない洋子たちに
人間の正直な弱さを見出すことができるとともに、
安易に殺人に発展しないストーリーに、リアリティを感じる。
美人・美男子が登場しないことも、説得力を持たせている。

残念ながら、ビデオ化・DVD化はされていないようである。

映画が斜陽化した時期に公開されたこともあり、興行的には失敗。
本作後、神代は
再建をかけ "ロマンポルノ" に舵を切った日活で活躍することになる。
 
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『可愛い悪魔 いいものあげる』 [邦画(カ行)]

「可愛い悪魔 いいものあげる」(1970)★☆☆☆30点
監督: 井上芳夫
企画: 関幸輔
脚本: 安本莞二、増村保造
撮影: 小林節雄
録音: 須田武雄
照明: 上原正一
美術: 間野重雄
音楽: 西山登
主題歌: 『いいものあげる』(作詞:馬飼野俊一、作曲:乗田正美、歌:渥美マリ)
出演:
 渥美マリ (石川ゆみ)
 田村亮 (津村桂一)
 福田豊土 (滝田徹也、土地開発会社社長)
 高橋昌也 (松崎、繊維問屋 "松崎商事" 社長)
 高橋[関根]惠子 (節子、松崎の娘)
 山岡久乃 (静子、芸者置屋の女将)
 加藤嘉 (滝田、金融会社社長・徹也の父)
 夏圭子 (ハツ子、クラブのNo.1ホステス)
 八並映子 (仲子、桂一の友人の妹)
 真山知子 (菊千代、芸者)
 清水美沙子 (りき哉)
 中吉卓郎 (関沢、松崎商事経理部長)
 中田勉 (足立)
 荒木康夫 (田村)
 竹里光子 (髪結の女)
 豪健司 (クラブ支配人)
製作・配給・ジャンル: 大映/ダイニチ映配/ドラマ/83分

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肉体派女優・渥美マリが、
一介の芸者から体を武器に自立する女性を演じた作品。

初めて出演作品を観る渥美マリは
和製ブリジット・バルドーと言われただけあって
目を引く顔立ちだが
それだけに、大きな丸っこい瞳が和服に似合わない。

田村亮は、田村三兄弟で一番甘い二枚目。
若い頃から説教臭い語り口なんだ、と新たな発見。

ゆみが田村扮する恋人に処女を捧げるシーンで
波音と大きな白波の映像がオーバーラップする。
今では陳腐にしか映らないこの手法は、
まさに "おお、これぞクラシック" と言った演出。

水揚げの夜、滝田は
生娘の抱き方を説明しながら、ゆみの襦袢を脱がせるのだが
"生娘ってのは柔らかい桃の実だ" に始まる一連の台詞は
文学的であり、またとてもエロティックな響きを持つ。

クラブで飲んだ後、アパートまで送ってくれた徹也を
"好きな人か、沢山お金をくれる人以外寝ない" と言い放ち
張り倒して追い出す姿は、やたらクネクネしていて笑える。

男たちは、ゆみの肉体を求めて寄ってくる。
いつの日かクラブを経営することを夢見、
女を利用して一歩一歩前進していくゆみは力強い。
そこには、愛と金をはっきり区別した生き方がある。
しかし、それは二者択一の問題であり
愛でなく金を選び、恋人・桂一に別れを告げる結末は
当時のウーマンリブ思想を背景に、
純愛を軽視しているようで好きになれないし、
一方をとるために他方を捨てる、という考えは
あまりに短絡的で、そこに哲学はない。

女性差別排除を叫んだ時代は遠い過去。
男女区別の必要が見直され、
そのベクトルはむしろ逆を向いていると言ってもいい現代、
こういった作品は全く心に響かないのではなかろうか。

実年齢を演じる関根は、まだまだ初々しい。
それでも、ラストで
黒いドレスと真珠のネックレスに身を包み
クラブに登場する姿はぐんと大人っぽい。
生まれ持った女優としての資質の高さは隠せないものだ。
 
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『Girl's Life』 [邦画(カ行)]

「Girl's Life」(2009)★★★★☆75点
監督:大塚祐吉
製作:山田浩貴
エグゼクティブプロデューサー: 太代眞裕、関浩太郎
プロデューサー: 木下陽介
脚本:水上竜士
撮影監督:大塚祐吉
音楽:野島健太郎
出演:
 桜井莉菜(一之瀬ハルカ)
 加賀美早紀(ミキ)
 石原あつ美(レイ)
 木村栄(松本、キャバクラ店長)
 ぶっちゃあ(ホームレス)
 松田ケイジ(坂本、キャバクラ店長)
 國井麻理亜(沙織)
 凜華せら(チアキ)
 細貝圭(疾風)
 水上竜士(北田)
 神子島みか(秋山ユリエ)
 上ノ宮絵理沙(モデル)
 木村圭作(石田友寛、ブランドショップ店長)
 川本淳市(真坂安男)
 渡辺哲(錦織、社長)
製作配給・ジャンル:フィルムパートナーズ(=GPミュージアムソフト、リンクライツ、コミュニティ・アド)/ドラマ/83分

Girl's Life [DVD]








まず、ホスト・疾風(はやて)との件{くだり}。
まったく面白くもなければ、ストーリー上の意味もない。
劇中、ハルカは彼のことを "見どころある" と判断するが
世の中や周りの人間たちを冷静に見ている彼女が
一体どこでどうなったら、そういう結論を出せるのか。
台本の不備も甚だしい。

よって、ハルカが疾風と出会う伏線ともなっている
最初のキャバクラの話は一切不要。

ハルカが自身のキャバ嬢の才能に気づくのも
二軒目において、
レイとのバトルの中で展開した方がより面白いはずだ。

一軒目のキャバクラで、
一緒に住み込みで働くキャバ嬢との友情は?
店長が首回らなくなって夜逃げするのは分かるが
彼がその前夜に店に現われ、当該のキャバ嬢とダンスを踊る。
そのまた翌朝には、
そのキャバ嬢は風に流れてしまった(風俗に身を落とした)
と、店長はハルカに告げる。
ということは、店長はその彼女にだけ、
店が潰れることを事前に打ち明けたと言うことか。
しかし、それですぐに風俗というのは…
店長に何か借りでもあるのか?
店長と一心同体なら風俗でなく、一緒に夜逃げすればいいことだし。
曖昧な上に、不可解なエピソードであり、
やはり不要と言わざるを得ない。

二軒目のキャバクラにおいては
沙織・店長・レイの存在が欠かせない。

レイが自分のことを、本名の "かすみ" と呼ぶなと要求しながら
自分は、アゲハと呼ばず、 "ハルカ" と呼ぶあたりが嫌味でいい。

ハルカと仲良しになる沙織は
いつも酔っ払った風体で、渡部篤郎ばりに常に揺れている。
「ごめんなさいね、ババアが余計なこと言って」
と、レイの腰巾着に向かって中指を突き立てる姿がいい。
痛快というほどではないが、俄然応援したくなる。

客の中で注目してしまうのは、
自分の店の採用面接でハルカを罵倒し
偶然ハルカの働くキャバクラの客となる石田。
演じる木村圭作の濃いキャラクターがいい。
時折、ドラマでも見かける木村は、
いつも武闘派の役ばかりで
肉体晒してアクションしかしていない印象でつまらない。
だが、傍若無人な彼のキャラも
役にこういった一味違ったひねりがあれば、グッと活きてくる。

ハルカは、ミキとの同居の末に
一緒に会社を辞めないか、と切り出される。
No.1キャバ嬢を目指していたのに
結局、ミキとともにあっさりと辞めてしまうのだが
一度掲げた目標を下ろすだけのモチベーションが
一体全体どこにあったのだろう。
ミキとの友情が為に辞めた、と理解するのが筋なのかもしれないが
それではかなり希薄である。

松井の独特な存在感がなければ
主人公・ハルカのキャラクターはかなり不明確なものに終始し、
その描き方にブレがあることがバレバレだったろう。

ホームレス・ぶっちゃあの存在も
フランクなハルカの性格づけに一役買っている。

松井の本職である読モに落ち着いてから。
そこで起きたかすみことレイとの些細なケンカが元で、
ミキとの友情にも亀裂が生じ、読モの仕事も辞める
というツマラナイ結末が、何とも薄っぺら。
それをストーリーの軽薄さと受けとるか
自分探しをする若者心理を表すシークエンスととるか
観客の手に委ねられる。
私は前者。

ハルカとミキの再会シーン。
ハルカのバックに光を背負わせるショットのあざとさ。
その際にも行われる、
"友好の印" と称して渡す(うまい棒らしき)スナックのやりとりが
陳腐に過ぎて、かなりうっとうしい。
演出センスの低さ、撮影術の未熟さを露呈している。

アル中の雑誌編集員・チアキとミキの掛け合いが最高。
アルコールを断っていた時のミキと
チアキと同じ穴の狢に戻った時のミキのギャップも楽しい。
チアキ役の凜華せらに一票。
元宝ジェンヌ、男役だったというのも納得。

松井以上に、加賀美早紀の存在感が圧倒的。
未だに観ていないからだが
彼女が「プラトニック・セックス」で抜擢された人とは知らなかった。
話題になりすぎると避けてしまう天邪鬼な私の性格が
この才能を見過ごしてきた原因の一つである。
彼女はすでに芸能界を引退してしまったとのこと。
残念で仕方がない。
いずれ戻ってきてくれることを願うばかりなり。

作品を総括するなら、
Vシネの割に、B級に堕ちず最後まで興味深く観ることができる。
全く知らない、あるいは馴染みの薄い俳優ばかりだったが、
脚本や演出の弱さを、キャスティングや俳優陣の演技がカバーし
素人芝居を見せつける安っぽい作品群とは一線を画している。

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『源氏物語 浮舟』 [邦画(カ行)]

「源氏物語 浮舟」(1957)★★★☆70点
監督・脚本: 衣笠貞之助
脚本: 八尋不二
製作: 永田雅一
企画: 辻久一
原作: 北条秀司
撮影: 竹村康和
録音: 大谷巌
照明: 加藤庄之丞
美術: 太田誠一、山中伸吉
音楽: 斎藤一郎
和楽: 中本利生
音響効果: 倉嶋暢
編集: 西田重雄
出演:
 長谷川一夫(薫の君、光源氏の嫡子・大納言)
 山本富士子(浮舟、中の君の妹)
 市川雷蔵(匂宮、皇子)
 乙羽信子(中の君、匂宮の北の方)
 三益愛子(中将、浮舟の母)
 松浦築枝(弁の尼)
 夏目俊二(右近小納言)
 阿井美千子(早蕨、右近の北の方)
 中村玉緒(浮舟の侍従)
 山路義人(時方、匂宮の供人)
 花市辰男(兵部、薫の供人)
 中村鴈治郎(帝)
 浦路洋子(二の宮、皇女)
 柳永二郎(白藤の大臣、蔵人所別当)
 浪花千栄子(浦風、薫の館女房)
 藤間紫(小篠、中の君の館女房)
 大美輝子(山の尾、中の君の館女房)
 朝雲照代(園生、中の君の館女房)
 浜世津子(高瀬、後凉殿の命婦)
 橘公子(山路)
 毛利菊枝(衛門、乳母)
 石原須磨男(桑鴈、薫の君の従者)
 玉置一恵(花鶏、薫の君の従者)
 堀北幸夫(蒿雀、薫の君の従者)
 横山文彦(平鰤、匂宮の従者)
 菊野昌代士(真鯒、匂宮の従者)
 藤川準(匂宮の従者)
 種井信子(若菜、浮舟の侍従)
 小林加奈枝(老婆)
製作・配給・ジャンル: 大映/大映/時代劇・ドラマ/119分

源氏物語 浮舟 [DVD]








源氏物語「宇治十帖」のひとつ "浮舟" を基にした戯曲の映画化。

大映カラーとも呼ばれた総天然色のイーストマン・カラーが
煌びやかで美しい平安の世界を浮かび上がらせている。
とりわけ、夜のシーンが
これほど色鮮やかに描かれているのは貴重である。

源氏物語に詳しくない私には
この作品がどれほど脚色されたものかは全く以って不明だが
日本古代の恋愛事情は至極興味深い。

女性を5人6人囲っていることが普通の殿上人{てんじょうびと}。
その典型ともいえるのが皇子である匂宮{におうのみや}であり、
その中にあって、対照的に誠実を貫く薫の君。

匂宮の所業の犠牲者となる右近小納言。
夫に刺され死を間際にしても
"宮さま" と浮気相手の名前を口にする早蕨。
その相手たる匂宮を斬らんことを薫に告げに行くも諭され
右近は自害の道を選ぶ。
生き恥を晒すことを思えば、
身を切り裂かれんばかりに口惜しかったろう。

匂宮の手つきになるのを恐れて婚前交渉を願い出る浮舟だが、
事情を知らない実直な薫は
自分の一途な想いを告げ、我慢してくれるよう説き伏せてしまう。

"体のつながりなどと言うものは、
心の固いつながりの前には蛍火のように脆く儚いものだ"
説得のため薫が口にする言葉は、
現代ではすっかり過去の遺物のように蔑ろにされている
愛の本質をごく率直に表現している。
しかし悲しいかな、浮舟は
一足違いで、匂宮に慰み物にされてしまう。

帝の意に逆らってまで浮舟への愛を貫き
大納言の官位を返上した薫。
泣き崩れる浮舟を前に
薫は初めて、自死した右近の気持ちを理解する。
先に体を奪ってくれなかったと恨み言を言う浮舟。
薫が強調していた精神のつながりは
肉体関係を前にして、やはり脆いものだった。
何ともやる瀬ない気持ちになった。

匂宮の供人と情を通じる浮舟の侍女役には中村玉緒。
ひたすら可憐な侍従を演じている。

浮舟に扮する山本富士子にはほとんど魅力を感じないが、
それは、単に私の好みでないだけの話かもしれない。
冒頭の東国帰りのお転婆ぶりが
京に暮らしを移した大人の浮舟像に全く繋がってこない。

好色の皇子を
雷蔵が見事、卑怯で嫌な男に仕立て上げている。
平安貴族のメイクに眉をつぶした雷蔵の顔は
軽薄さと不気味さを併せ湛えている。

浮舟の名は、死を覚悟して詠んだ和歌
「橘の小島の色はかはらじを この浮き舟ぞゆくへ知られぬ」
(橘の茂る小島の緑のごとくあなたの心は変わらないかもしれないが、水に浮く小舟のごとき私はどこへ漂ってゆくかも分からない)
に因んでいる。

浮舟は入水自殺を図ったであろう、というところで終幕。
幕に描かれた朝靄に煙る山の情景をバックに
浮舟の名を叫ぶ薫の悲しげな声がクリアにこだまする。
美術や効果に意識を捉われるということがなく
ローテクながらも、当時の技術の緻密さを感じさせた。

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『神田川』 [邦画(カ行)]

「神田川」(1974)★★★☆70点
監督: 出目昌伸
企画・製作: 藤岡豊、川野泰彦
企画: 山本又一朗
原作: 喜多條忠
脚本: 中西隆三
撮影: 原一民
美術: 竹中和雄
照明: 佐藤幸次郎
録音: 瀬川徹夫
編集: 渡辺士郎
音楽: 佐藤允彦
主題歌: 「神田川」(作詞・喜多條忠、作曲・南こうせつ、編曲・木田高介、唄・南こうせつとかぐや姫)
出演:
 草刈正雄(上条真)
 関根惠子(池間みち子)
 所雅樹(ビゼン)
 黒沢のり子(マキシ)
 佐久間亮(ゲバQ)
 花房徹(ネモ)
 北見敏之(サトリ)
 伊藤比南子(オハツ)
 芳賀まり子(ケメコ)
 勝部演之(上条哲、真の兄)
 賀原夏子(みち子の母)
 花澤徳衛(老書房主)
 神山繁(産婦人科医)
 名古屋章(古本屋の親爺)
 鳳八千代(料亭女将)
 藤田漸(学生)
 島もとき(学生)
 大隅さとみ(学生)
製作・配給・ジャンル: 東宝=国際放映/東宝/青春・ドラマ/84分

神田川 [DVD]








フォークトリオ・かぐや姫の名曲「神田川」をモチーフに
草刈正雄・関根恵子(現高橋惠子)主演で映画化。
早稲田界隈の神田川のほとりに住む早大生と
小さな出版社に勤める娘の悲恋を描いている。

草刈演じる真は、人形劇サークルの脚本を担当しているが
彼が作品中で書き上げる劇が「かぐや姫」。
タイトル曲で大ヒットを記録した
南こうせつ率いるフォークグループ名に引っ掛け
話題作りの一つにしている。

舞台の主舞台となる面影橋は
学習院大と早大のほぼ中間点に位置する。
荒川線の鬼子母神前駅は、面影橋から2つしか離れていない。
この映画を見て、主人公たちの初デートのように
神田川を上流へ遡ってみたいと思う人も多いだろう。

中絶の瞬間に
竹林に血を思わせる赤い飛沫のフィルターがかかる。
安っぽい演出にがっかりくる。
時代的に、あれが衝撃性を演出できたのだろうか?
無音とともにストップモーションにする程度で
十分のように感じた。

そもそも、かぐや姫に引っ掛け
心理の象徴描写として "竹林" のショットが多用されているが
効果的に働いているとは思えない。
他方、ラストカットまで登場する、かぐや姫と若者の操り人形は
印象的なアイテムとして記憶に残る。

マキシは
今の言葉で端的に表すなら、ストーカーだ。
家庭が裕福で知的である分、性質(たち)が悪い。
愛する人の恋人の存在を知った絶望からとはいえ
他の男にすぐ身を任せるというのも、短絡的で安易すぎる。
恋敵に対する妨害工作とはいえ
愛する人の不幸や、堕胎の強要を招くような行為を働き
挙句、その親友の命まで奪う。
一つの命を葬っておいてなお、傷ついたのは自分だと言い張る。
自分の恋敵と恋人の親友の死を一生抱えて愛を貫くことは至難だ。
死してまで、残された者たちにそんな重荷を背負わせる
マキシの身勝手さには腹の立つ思いである。

そのマキシにいいようにほだされ
死までともにするビゼンの心理は全く理解できない。
少ない言葉数の中に、真との強い友情を感じることはできるが
果たして、マキシに対する哀れみだけで心中できるだろうか?

今は橋の架け替えや、水質の浄化が進む神田川。
当時の姿をとどめる橋は少ない。
学生たちの長髪、真のベルボトムのジーンズなど
時代を感じさせるファッションも郷愁を誘う。

19歳の関根は、等身大の女性を演じているが
精神年齢の低下や若者の幼稚化が叫ばれる現在から見ると
格段に大人であり、かつ気品がある。
これは、15で銀幕デビューした彼女が
大人になり熟年期に入るにつれ、さらに磨きがかかる性質である。
そのデビュー作以来、関根の出演作には常に
興行成績を上げたい映画会社の意向で
ヌードの披露が組み込まれてきた。

そのスキャンダラスなプライベートも手伝って
過激な肌の露出は、
関根の知名度を上げるのに大きな要因となったのも事実だが
功ばかりではないと思う。

本作について考える。
真に押し倒されて覗く乳房は、
みち子の清純さを引き立てる助けになっており
シーンの展開としてもごく自然な流れの中にある。
ただし、わざわざ乳房を追いかけるカメラワークは気に入らない。
その一方で
真の公演巡業先の雪山までやってきた時のみち子。
かまくらを背景に、
"さあ、お楽しみのヌードシーンですよ"
と言わんばかりに用意されるカットは不要であり
ストーリーの主軸の邪魔とさえ思える。
みち子の雪山への登場は、「雪女」の童話も思い起こさせる。

まだ台詞の棒読みが残る関根だが
その純真な表情は、年齢や経験で培われるものではなく
むしろ失われていくもの。
顔のアップを見ているだけで
みち子に感情移入してしまう魅力が彼女にはある。

草刈については
"やっぱりカッコいいなあ"、
"あの独特の笑い方は若い頃からなんだ"
という程度で、演技的には可もなく不可もなく。

みち子の母親役・賀原が
水商売の崩れた中年女を良き塩梅で演じきっている。

真が兄を殴るシーンを見て、爽快に感じてしまうのは
反骨精神たっぷりの職業柄だろうか。

"私死ぬんなら、あんな雪山で死にたいなあ"
という唐突なマキシの台詞や
"かぐや姫の恋は悲恋に終わる" とみち子に何度も口にさせる点など
物語の直接的な前振り(ある意味、ネタばらし)が
脚本の稚拙さを露呈している。

しかし、打算なく純粋に愛に生きられるのは若者の特権である。
今の私に同じことができるだろうか。
そう自問すると、懐古的にも厭世的にもなる。

私はやはりハッピーエンドが好きだ。
真とみち子は、別れた後どういう人生を歩んだのだろう。
尽きることなく妄想してしまう。

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『高校生ブルース』 [邦画(カ行)]

「高校生ブルース」(1970)★★★☆65点
監督: 帯盛迪彦
企画: 藤井浩明、仲野和正
原作: 柴田成人「傷だらけの十六歳」
脚本: 伊藤昌洋
撮影: 喜多崎晃
録音: 高橋温生
照明: 上原正一
美術: 山口煕
音楽: 伊部晴美
編集: 中静達治
出演:
 関根恵子(北原美子)
 内田喜郎(加藤昇)
 篠田三郎(五十嵐)
 八並映子(トシ子)
 堀雄二(佐伯、美子)
 伊藤幸子(美子の母)
 浅見ちづ子(明美)
 成瀬亜紀子(恵子)
 川内悦子(川上礼子)
製作・ジャンル: 大映東京/ダイニチ映配/ドラマ/84分

高校生ブルース [DVD]








関根恵子(現・高橋恵子)のデビュー作。
次作「おさな妻」がデビューとなるはずだったが
主役の降板でピンチヒッターとして急遽デビューの運びとなった。

医務室で横たわる美子の唇の赤色が鮮烈的に美しい。

体育館でバスケットボールをしている生徒が
壁一枚挟んですぐ隣にいる器具庫で初体験をする高校生。
そういった舞台設定も、この性体験をさらにスリリングにしている。

15歳でヌードデビューというのは
当時、相当衝撃的だったにちがいない。
逆に今は、法規制が厳しくなって、
15歳がこういった作品に出るのは極めて難しいのでは。

私には、真面目で誠実な2枚目イメージの強い篠田だが
本作では、クラスの女子全員の生理日をチェックするような劣等生。
だが、高校生にして図抜けて大人びている。
当時彼は、すでに20歳を越えていたのだから当然と言えば当然。

佐伯と母親の親しげな2ショット写真を見つける美子。
2人の関係を想像する時に挿入される
ブラックバックの大人のまぐわいは、
高校生目線に立って不潔感たっぷりである。

中絶費用を稼ぐためとはいえ
早朝から牛乳配達に励む昇は健気である。

美術室で産むだ堕すだと話し合う美子と昇。
たくさんのギリシャ彫刻の模型に囲まれている画は
古代の偉大な哲学者たちに見守られているようで傑作。

流産せんがため
美子が昇に、自分の腹を踏みつけさせるシーンは
何とも残酷で悲しい。

絵を汚損したり、昇との思い出に見立てて金魚を殺したり
自虐的に指で触れたり
わざわざ盗んだ硫酸の使い道が効果的でない。

割れた鏡も複数回、暗喩的に登場するが
これも功を奏しているとは言えない。

肉欲からクラスメートを抱く男子高生と、
純粋な愛を求める女子高生。
女々しく惨めな少年と、強く前を見据えて進む娘。
これはラストの美子の台詞と、
何も言えずに涙ぐむ昇の姿に象徴される。
性に目覚めたその瞬間から、
男女のすれ違いは既に始まっているのかもしれない。

15歳のヌードとか、未成年の妊娠・流産といった
扇情的な部分を取り除いても
関根恵子の女優としての資質の高さを十分に感じられる映画。

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『喜劇 駅前怪談』 [邦画(カ行)]

「喜劇 駅前怪談」(1964)★★★☆65点
監督: 佐伯幸三
製作: 佐藤一郎、金原文雄
脚本: 長瀬喜伴
撮影: 黒田徳三
美術: 小島基司
音楽: 広瀬健次郎
照明: 比留川大助
録音: 長岡憲治
編集: 広瀬千鶴
出演:
 森繁久彌(森田徳之助、助役)
 フランキー堺(坂井次郎、運送屋)
 伴淳三郎(伴野孫作、食堂 "銀月" 店主)
 三木のり平(三井正平、作家)
 淡島千景(森田圭子、旅館 "しまや" の女将・徳之助の妻)
 淡路恵子(武田みどり、元トルコ嬢・ストリッパー)
 島かおり(高林由美、区長の娘)
 池内淳子(染太郎、芸者)
 乙羽信子(伴野京子、孫作の妻)
 沢村貞子(武田くま、"白猫の湯" 湯元・みどりの祖母)
 加東大介(高林、区長)
 松村達雄(西山会長)
 久慈あさみ(藤子、バーのマダム)
 山東昭子(八重、西山山荘の手伝い)
 三遊亭小円馬("東西観光" 部長)
 田中志幸(武田信玄公)
 松波志保("しまや" の女中)
 北あけみ
 利根はる恵
 つくば兄弟
製作・配給・ジャンル: 東京映画/東宝/コメディ/92分

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イントロでコミカルな音楽と共に流れるクレジット。
バックの絵が様々な色彩に、
クレジットの赤がすっかり埋もれて人名が読めない。
色彩あふれる絵から、
緑豊かな映像で始まる本編に移る趣向は構わないが
あれでは、スタッフ・出演者が可哀想。

舞台を変えても、基本的な人物関係は変わらないこのシリーズ。
勝浦駅前に舞台にして、8作目を数える。
本作は、温泉権をめぐって、コミカルな人間関係が展開。

"怪談" と銘打っているが
怪談を扱ったシーンは、
あくまで傍流にも至らない、三井を追い立てる一エピソードで
仕掛けも子供だましにすぎない。
当然、あざといお笑い担当の三木のり平の持ち場。

17代にわたって信玄の隠し湯 "白猫の湯" を守るおくまは
怪談物に定番のざんばらの白髪。

東京帰りのみどりは、元トルコ嬢。
"トルコ" とは久しぶりに耳にする響き。
"トルコ" と聞いて、国名しか浮かばない若者も増えたろうが
かつては、トルコ風呂の略称で、今で言うソープを意味した。
トルコ政府からのクレームもついたりして名称が変更された。

乙羽信子は、このシリーズ、
伴淳の妻として、庶民の代表的な母ちゃんを演じている。
整って品のある顔立ちだと思うのだが
丸顔が災いしてか、東宝ではなかなかヒロインの座につけなかった。
だが本作では
事あるごとを夫に尻を叩かれる京子が私のヒットだった。

染太郎は相変わらず、艶やかで垢抜けていて
甲府の小さな町を舞台にしては、
地元に留まっているのが不思議な存在。

次郎の恋人役・島かおりは
その若さ・初々しさで役どころには合っているが、
華や特徴に欠ける。

淡路恵子扮するみどりのダンスのインサート。
白猫の湯の孫が、
黒猫の装束で踊るのを観た時には???、と感じてしまう。
白では、蓮っ葉なみどりのキャラに合わないからだろうか。

話の転換点で
登場人物の反応が薄いせいだろう、
盛り上がりに欠けるために、騒動が騒動にならない。
本作がイマイチ笑いのダイナミズムが生まれない。

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『喜劇 大安旅行』 [邦画(カ行)]

「喜劇 大安旅行」(1968)★★★★☆75点
監督: 瀬川昌治
企画: 加茂秀男
製作: 島津清
原作・脚本: 舟橋和郎
照明: 戸井田康国
撮影: 高羽哲夫
美術: 梅田千代夫
装置: 小島勝男
音楽: 木下忠司
録音: 鈴木正男
出演:
 フランキー堺(並木大作、紀西本線急行専務車掌)
 伴淳三郎(並木甚吉、大作の父・機関士)
 新珠三千代(丸山雪子、寿司屋 "丸新" 女将)
 笠置シヅ子(丸山うめ、雪子の母)
 倍賞千恵子(新庄晴子、観光船ガイド)
 早瀬久美(大塚洋子)
 佐藤蛾次郎(ポン引)
 穂積隆信(大作の上司・区長)
 牧伸二(森岡、皮膚科肛門科 "森岡医院" 医院長)
 生田悦子(丹羽美知子、車内販売係)
 左とん平(戸川光夫、新婚カップルの夫)
 園佳也子(戸川圭子、光夫の妻)
 晴乃チック(村上慎吾)
 晴乃タック(菅原稔)
 藤原釜足
 財津一郎
 左卜全
 世志凡太
 華かおる
 北竜介
 長良純
 高月恵美(ストリッパー)
 藤田憲子(ストリッパー)
製作・配給・ジャンル: 松竹/松竹/コメディ/94分

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新婚カップルで満席の急行列車。
和歌山県は紀勢本線を舞台に、
鉄道父子の恋愛騒動を描いた松竹喜劇 "旅行シリーズ" 第1作。
渥美清主演の "列車シリーズ" を手がけた瀬川昌治が監督。

ストリッパーで若貴の母・藤田憲子登場。

うら若き倍賞がとても可愛い。

所々に観光名所がテロップと共に紹介される。
国内旅行でさえ、
時間的にも金銭的にも、そう易々とはできなかった時代。
名所・風物を織り込んだ映像観光といった趣向も
シリーズヒットの一要因となったにちがいない。
地方を巡った "釣りバカ" シリーズも同じスタイルを踏襲している。

伴淳とフランキーのコンビは、人情味たっぷりの絆深き父子。
笠置・新珠の寿司屋母娘を相手に繰り広げる恋愛喜劇が楽しい。

酔った甚吉が、機関士としての自分の仕事ぶりを熱く語るシーンは
息子の大作でなくとも、何とも言えず温かい気持ちになる。

晴坊に惚れられ、雪子に頼りにされるなんて
贅沢な身分で羨ましいかぎり。

乗客の娘をポン引から救った為の欠乗(乗務欠席)の件でも
そのやりとりを通して
並木親子の実直な性格と、美しい親子愛にホロリとくる。

「おれは男だ!」の吉川操役ででブレイクする前の
早瀬久美も初々しい。

大阪・天王寺駅の風景。
¥20という自販機の切符の金額には、時代を感じるばかりである。

勘違いから
トントン拍子に運んでしまう甚吉とうめの縁談。
誤解を解く間もなく、うな垂れる甚吉の姿は滑稽の極み。
可哀想ながらも笑ってしまう。

黒板を伝言板に、本音を語り合う父子がうらやましい。

フランキーは
そのずんぐりした体型と、角ばってはいるがふっくらした顔で
温かな雰囲気をかもし出している。
加えて、"もう面倒見切れないよ" を口癖に
しっかり面倒を見てしまうお人よし
と、きては愛さずにはいられないキャラ。

雪子を口説くつもりで誘った別府旅行。
ところが逆に、兄と慕っていた雪子に、
"おにいちゃん" と呼ばせてほしいと懇願され、押し切られてしまう。
一気に恋心減退の大作の気持ちはよく分かる。
だが、"おにいちゃん" という新珠の声の響きは心地よい。
新珠のような妹がいるのもいいだろうな。

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『腰抜け二刀流』 [邦画(カ行)]

「腰抜け二刀流」(1950)★★☆☆☆40点
監督: 並木鏡太郎
製作: 佐藤一郎
原案: 稲垣浩
脚本: 三村伸太郎
撮影: 平野好美
照明: 平岡岩治
録音: 片岡造
美術: 梶由造
音楽: 鈴木静一
出演:
 轟夕起子(おろく、三味線芸者)
 森繁久彌(宮本武蔵之助、二刀流居合い抜き師)
 岸井明(与茂作、おことの恋人)
 花菱アチャコ(殿様)
 田中春男(浅次郎、おとせの兄)
 永井柳筰(宿屋「かつらぎ」亭主)
 左卜全(中村屋権六、親分)
 杉寛(仙右ヱ門、百姓)
 鳥羽陽之助(宇坂半兵衛)
 江川宇礼雄(田村伸左ヱ門)
 清川荘司(矢尻源兵衛)
 清川虹子(おとせ、殿様の愛人)
 香川京子(おこと、村娘)
 堀越節子(女中おくめ)
 花岡菊子(女中お種)
 伊達里子(おまさ)
 菊地三郎(鷲尾荒熊、金棒使い)
 築地博(宿屋「福田屋」亭主)
 谷三平(三平、子分)
 大谷友彦(友三、子分)
 石川冷(久太、百姓)
 尾上桃華(船中の客)
 尾上桃華(船中の客)
 高松政雄(覆面の武士)
 松本武司(小太郎、おとせと殿様の子)
製作・ジャンル: 新東宝/コメディ・ミュージカル/76分

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酒場の歌から始まるミュージカル仕立ての時代劇コメディ。

メインで歌うは、宝塚出身の轟夕起子。
歌唱力はしっかりしたものだけに、録音状態が悪いのが惜しい。

宮本の芸の前口上も、名薬売りの宣伝も歌に乗せて。
後にミュージカルの主演も務める森繁だが
この劇中での歌は取り立ててコメントすることはない。

若き森繁の風貌は、吉本新喜劇を沸かせた岡八郎を思わせる。
親分・子分2人の計3人を相手に歯痛を治す件は、
ギャグそのものがつまらない上に
痩せっぷりも手伝ってか、まったく笑えない。

お墨付きの奪取を狙う侍2人組との
追いつ追われつの珍道中。
森繁より、悪人侍たちの受け芝居のほうが面白かった。

一方、ワンポイントしか登場しない花菱アチャコは
流石というか、表情を見ているだけで可笑しい。

モールス信号音に、汽車の汽笛、ぬいぐるみ等々。
時代劇に、
未来に当たる昭和の風物をふんだんに盛り込み
それを笑いにしている点は斬新。

何かとでっかい木槌で落ちをつけたり
早回しで変化をつけたり
コミカルな演出は枚挙に暇がない。

そのタイトルから「腰抜け二挺拳銃」のパクリなのは自明だが
元ネタの西部劇を観ていないから、どうパクられているのかは不明。
私が粋や新鮮に感じた演出もみなパクリなのだろうか?
是非、本家「腰抜け~」も観てみたい。

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『月給泥棒』 [邦画(カ行)]

「月給泥棒」(1962)★★★★☆80点
監督: 岡本喜八
製作: 金子正且
原作: 庄野潤三
脚本: 松木ひろし
撮影: 逢沢譲
美術: 竹内和雄
音楽: 佐藤勝
録音: 渡会伸
整音: 下永尚
照明: 金子光男
スチール: 竹林進
出演:
 宝田明(吉本文隆、クラウンカメラ社営業課社員)
 司葉子(佐山和子、クラブ "シルバ" ホステス)
 ジェリー伊藤(ホセ・ダゴン、ザバール商事・外国貿易課長)
 十朱久雄(太田黒、クラウンカメラ社専務)
 中丸忠雄(富永、同営業部長)
 宮口精二(立岡、同営業課長)
 浜村純(小柳、同人事部長)
 二瓶正典(手塚、同営業課社員)
 砂塚秀夫(石川、同営業課社員)
 横山道代(キリハタ洋子、人事部秘書)
 若林映子(友子、専務秘書)
 原知佐子(礼子、クラウンカメラ社電話交換手)
 森今日子(みどり、オリバー光学㈱電話交換手)
 富田仲次郎(カンダイチノスケ、オリバー光学㈱社長)
 柳川慶子(ミチル、クラブ "シルバ" ホステス)
 本間文子(掃除婦のおばさん)
 堺左千夫(野村、吉本の友人)
 塩沢とき(旅館の女中)
 沢村いき雄(屋台の主人)
製作・ジャンル: 東宝/コメディ/93分

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あるカメラ会社社員の出世物語を
恋愛を絡めて喜劇的に描いた喜八作品。

"諸君も会社から給料を受け取っているから今
その知遇に応え、期待に報いる義務と責任がある。
この努力の足りない者は
敢えて、「月給泥棒」 を汚名に甘んじなければならない。
重ねて言う、「月給泥棒」!"
この冒頭の訓示が利いている。

司葉子は、色気のない役柄が幸いして
ヒロイン役を全うしている。

その和子が乗るサンルーフの付いたモスグリーンのビートル。
機能的でないからか
今ではすっかり見かけなくなったが
フォルクスワーゲン=ビートルという時代が懐かしい。

"自分自身が幸せならいいんじゃない?" という和子に対し
"バカ言え。幸せってやつはね、
自分が人より上にいると分かったときしか、こりゃ感じないもんだぜ"
という吉本の言葉は、
高度成長期の当時だけでなく、景気低迷期の今にも通じる
その出世主義・拝金主義の空しさを投げかけてくる。

ダゴンに扮するジェリーも
朗らかな外人役を嫌味なく好演している。

ダゴン曰く
"和子に注いでもらったおかげで、ジュースで酔いました"
ベタなこの台詞に結構はまって笑ってしまった。

サボテンとトカゲの肝から作った媚薬は
「アラジン」を思わせるようなランプに入っているのも可笑しい。

吉本とミチルの目くばせに
モールス信号音をかぶせるのは喜八監督ならではの遊び。

媚薬が効いて、ダゴンの戦闘モードに入るのを
歌舞伎の拍子木で盛り上げる演出も気に入った。

惚れ薬の効き目を目の当たりにして
和子のことが心配になるなど
吉本が恋に純情なところが可愛い。

出世と金がポイントとなるこの映画で
かめつい掃除のおばさんも
ウィットの利いてくる笑えるキャラ。

"あなたは契約さえ取れれば
好きな女を他人に売り飛ばしても平気なのね"
和子のこの言葉に、前述の吉本の信条は完全に瓦解。

出世の道も閉ざされ、うらぶれた屋台の飲み屋へ。
実直誠実だけが取り得のような
冴えない課長の宮口精二が脇で抜群の存在感を示す。

恋人も職も失ったかと思いきや
しっかりライバル会社の営業部長に納まる痛快ぶり。
古巣に電話をかける、その薄紫の綺麗な電話機もイカしてる。

うまい具合に元さやに納まる吉本と和子。
媚薬入りのコーヒーを口にする瞬間に
オーケストラの大音量と共に、ガレージの光がスパークして終幕。
喜劇にして粋な幕引き。

全編通じて、可笑しいだけでなく
粋な演出アイデア満載の喜八コメディを堪能した。

デビュー当時の棒読みから成長した宝田明が
このスマートな喜劇の主人公にぴったりハマった。

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