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『タバコの害について』/『白鳥の歌』 [舞台]

『タバコの害について』
作: アントン・チェーホフ
翻訳: 米川正美
演出: 村田元史
制作: Y・NAKANO 演劇企画JOKO
出演:
 西本裕行(ニューキン)

いやあ、面白かった~!
ホント、楽しい一人芝居だった!

タバコの害について講話を依頼され登壇するニューキン教授。
ところが、恐妻家の彼の話は脱線。
妻に対する積年の思いが爆発する。

西本さんが醸し出す老紳士の悲哀がたまらなく切なく可笑しいのだ。
4回公演の千秋楽に来て、初めて起きたというハプニング。
それに対するアドリブっぽい対応が、さらなる笑いを誘っていた。

西本さんは大先輩。
あとひと月あまりで米寿を迎えるご高齢にもかかわらず
毎年、大小様々な舞台に立ちつづけている素晴らしい俳優である。
今年も、すでに
『リア王』、『父と暮せば』で主役を務めていらっしゃる。

年配の方なら、
『ムーミン』のスナフキンを担当していた声優と言ったら
分かりやすいだろうか。

それ以前に、彼は舞台人である。
文学座、雲、欅、昴
といわゆる新劇団で演劇人生を貫きつづけている志の人である。

映画が斜陽になって、テレビ創生期。
テレビ俳優がほとんどいない時代、
時代劇や大映テレビを中心とするドラマに
新劇と言われる老舗劇団の舞台俳優が映像でも重宝された。

しかし、若いころの西本さんは評価が低く、
小池朝雄をはじめ、劇団の同世代がテレビでも活躍する中
陽の目を見ない時代が長く続いた。

私が師と仰いでいた故・北城真紀子は
生前、後輩である西本さんに対し
舞台袖で「お下手ね」と言い放ったという話を嬉々として語っていた。
北城が亡くなった折
西本さんご本人も、その逸話を笑いながら話してくれた。

実際、私が俳優となって間もないころ観た『寺院の殺人』では
私が未熟だったこともあるのだろうが
主役を務めた西本さんの演技に全く魅力を感じなかった。

若輩の私が言うのもなんだが、
その後、歳を経るごとに
彼の魅力はキラキラと輝きはじめるのである。

だから今、亡き北城真紀子には言ってやりたい。
「今や、あなたに負けず劣らず、素晴らしい俳優ですよ」
「いや、あなたが見られなかった時間を生き続けている分、
あなたを凌ぐ優しさと強さを備えた素敵な大先輩です」と。

先日亡くなった高倉健さんが映画の孤高なら
西本裕行氏は舞台の孤高である。

私は2本の舞台でご一緒したが、
残念なことに、いずれの作品でも直接絡む場面がなかった。

いつまでも
矍鑠と舞台に立ち、私たちの道標・模範であってほしいが
90歳近い年齢を考えれば、私より先に逝ってしまう可能性は高い。

この先
西本さんから、どれだけ吸収し学ぶことができるか
西本さんの演技を、どれだけ観られるか
西本さんと、どれだけ時間を共有できるか。

どんなメディアでも構わない。
是非、西本さんと直接絡む作品に参加したい。
それが私の随一の希望である。

私は、この世に生まれこの人に会えたことを感謝する。
そして、これから彼と密に関わる人々すべてに嫉妬するだろう。
それくらいに、この俳優、この先輩を敬愛しているのである。

『白鳥の歌』
作: アントン・チェーホフ
翻訳: 米川正美
演出: 村田元史
制作: Y・NAKANO 演劇企画JOKO
出演:
 仲野裕(ワシーリー・ワシーリイチ・スヴェトロヴィードフ、喜劇役者)
 西本裕行(ニキータ・イワーヌイチ、プロンプター)

老俳優によって
人生についての述懐とプロンプターとの会話が
深夜の劇場で展開される。

仲野さんも私にとっては大先輩である。
しかし、正直あまり面白くなかった。

ストーリーや設定など、戯曲として面白味がないとは言えないが
本自体にも特筆する内容・展開はない。
主役の仲野さんに対して、西本さんも脇で登場するが
存在感はあれども、役によっては俳優を生かせないのだなあ。
それを実感させられる作品だった。

つまりは
この戯曲に対する興味があまり湧かない所に起因するのだろう。

会場: 両国・門天ホール
観劇日: 2014年11月30日(日)
上演時間: 午後2:00~(休憩15分含・約1時間20分)
ジャンル: ドラマ
 
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